夢から逃げた私ですが、過保護なエリート弁護士に溺愛されてます
「百香ちゃん、おはよう」
「お、おはようございます!」

 爽やかな笑顔に驚き、声がひっくり返りそうになった。そのせいで恥ずかしさが込み上げ、一気に体温が上がる。

 助手席のドアを開けて「さあ、どうぞ」とエスコートしてくれる渉さんの紳士ぶりに、さらに緊張が増した。
 (いざな)われるまま助手席に座ると、運転席に乗り込んだ渉さんは「なにか食べたいものある?」と聞きながらエンジンをかけた。

「渉さんはありますか?」
「そうだな……百香ちゃんとゆっくりできる店ならどこでもいいかな」

 アクセルを踏みながら、さらっと恥ずかしげもなくいわれ、逆に私が頬を染めた。私だって、渉さんと話ができればどこでもいいんだけど。
 小さな紙袋の持ち手を握りしめた。

「とりあえず繁華街に向かうか。日曜だからどこも混んでるかな」
「そうですね。最近はカフェブームらしくて、住宅街の店でも待ちが出ることことも珍しくないんですよ。外国客も多く見かけますし」
「らしいね。まあ、ニューヨークでランチのセットなんて頼んだら、安くてもこっちの二倍はするから、観光客も物珍しいんだろうな。安くて美味しいし」
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