夢から逃げた私ですが、過保護なエリート弁護士に溺愛されてます
「サイズはだいぶデカかったな。ベーグルのビーフサンドなんて顎が外れそうな厚みでさ。百香ちゃんは半分も食べられないかもな」
「そんなに?」
「ピザなんて、日本でいうとこのMサイズの半分くらいが一人分だし、サンドイッチとかベーグルはこっちの2か3倍はあったよ思うよ」

 ニューヨークでの食事を思い出しながら話す渉さんは、顔を引きつらせて「濃かったな」と呟いた。

「デザートなんて砂糖を食べてるのかってくらい甘くてさ」

 ニューヨークの味を聞いているうちに胃が重くなってきた。
 パン屋で働いているから、サンドイッチやベーグルサンドを食べることも多いけど、食べきれなかったことはない。なんなららべ終わった後に、甘いパンを食べたくなるくらいには、パンが好きなんだけど。

 聞いているうちに、ニューヨークの食に対する憧れが少し薄れた。

「……味覚が崩壊しそう」
「そうそれな。日本の出汁が恋しかったよ」

 どうやら渉さんも、話しながら胃が重くなっていたようで、シャツの上から胃のあたりを摩っている。そうして、少し遠慮がちに「ランチ、蕎麦屋でもいい?」と尋ねた。

「それだったら、おすすめのお店がありますよ」
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