夢から逃げた私ですが、過保護なエリート弁護士に溺愛されてます
 笑いながら指の先に着いたグラニュー糖を舐めた渉さんは、ラスクの袋をもう一度見ると「後でゆっくり食べるね」といって紙袋に戻した。


 それから予約した蕎麦屋で、美味しい天ぷら蕎麦を食べながら、渉さんの昼食事情の話を聞いた。
 ニューヨークだとかけそば一杯が三千円もするから、めったに食べに行かなかったとか。こっちでの昼食はコンビニばかりだとか。
 他愛もない話をしながら楽しい時間をすごした。

 お腹がいっぱいになって店を出ると、涼しい風が頬を撫でた。

「渉さん、ご馳走になっちゃってすみません」
「ランチに誘ったのは俺なんだから、気にしないで。それより、美味しい店を教えてくれてありがとう。今度は、俺がオススメの店を教えないとな」
「……え?」

 渉さんを見上げると、手が差し伸べられた。

「もう少し付き合ってくれるかな。パフェの美味しいカフェなんてどうだろう?」

 差し出した手を掴んでもいいのだろうか。
 ドキドキとしながら指を伸ばすと、側ですっかり温まった手に優しく握られた。
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