夢から逃げた私ですが、過保護なエリート弁護士に溺愛されてます
 この前、オススメを聞いたら悩むといっていた百香ちゃんは、小首を傾げながらいくつも商品を薦めてくれた。その様子から、本当にMOMOTAのパンが好きなんだと伝わってくる。

「それじゃ、それ全部貰おうかな。日替わりスープもね」
「全部!? そんなに食べるんですか?」
「明日の朝食にもなるし、なんなら、夜食にも丁度よさそうだし」

 内心で、今夜も書類作成に追われそうだしなと呟きながら「会計よろしく」というと、百香ちゃんは照れた笑顔で「ありがとうございます」といって紙袋にパンを詰めてくれた。

「いつもここに出しているの?」
「ここは火曜だけです。曜日によって出店場所が違うんですよ」
「そうなんだ。もっと早くに気付いていればよかったな」

 会計を済ませて紙袋を受け取ると、ふと、百香ちゃんの表情が気になった。
 さっきまでの笑顔が、少し曇ったようだった。なにか気に障ることをいっただろうか。不安がよぎり「百香ちゃん」と声をかけた時だった。
 俺の横で商品を眺めていた客が「すみません!」と声をかけ、百香ちゃんの意識はそちらに向いてしまった。
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