夢から逃げた私ですが、過保護なエリート弁護士に溺愛されてます
 ああ、これはただのエゴなのかもしれない。百香ちゃんを離したくないから、この先も側にいて欲しいから、公私ともにずっと目の届くところに置きたい。だけど……

「もう少し後に話そうと思ってたんだけど、独立を考えているんだ」
「……独立?」
「ああ。個人事務所を立ち上げようかと思ってる。信頼できるパートナーがほしい」
「で、でも、私は」
「パラリーガルに必要なのは、法律の基礎知識と事務処理の能力、スケジュール管理能力。経済学部を出て、経理として社会で働いてきた百香ちゃんなら、できるよ」
 
 戸惑う声を遮るように告げると、震える声が「できるかな」と呟いた。

「パラリーガルは直接、相談者になにかできる訳じゃない。だけど、弁護士がスムーズに仕事をこなすためには必要な存在だ。俺に、百香ちゃんの力を貸してほしい」

 側にいて欲しい。もう、五年前のように消えて欲しくないんだ。

「百香ちゃんはずっと俺を支えてくれていた。だから、今度は……俺が百香ちゃんの支えになる。もう一度、一緒に頑張ろう」

 でもといって戸惑っていた声が「私でいいんですか」と、遠慮を残しながらも尋ねた。
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