夢から逃げた私ですが、過保護なエリート弁護士に溺愛されてます
その週の日曜日、渉さんに誘われて参考書を買いにみなとみらい地区へと向かった。丁度、クリスマスマーケットも始まったから、立ち寄ってみようかと話しながら、人混みを進んだ。
繋がれた手が気になって、つい意識してしまう。
「百香ちゃん、どうしたの?」
「えっ、その……渉さん、慣れてるなって」
「慣れてる?」
「その……手を繋いで人混みを歩くの、恥ずかしくないんだなって。ニューヨークでも、そうだったのかなとか」
いいながら、少しだけ心に冷たい風が入り込む。
渉さんと私は七つの離れているわけだし、今まで恋人がいてもおかしくないよね。二度と会うつもりのなかった私が、過去に嫉妬するなんて笑っちゃうけど……
私たちの横を通りすぎる女性たちが振り返って、ひそひそとなにか話す姿が気になってしまう。
身長が190センチ以上はあるだろう渉さんと154センチの私では、でこぼこコンビもいいところだから、気になったのかもしれない。もしかしたら、兄妹に見えたのかな。
渉さんは目鼻立ちも整っていて、芸能人と見まごうばかりだし、兄妹は無理があるかな。私は平凡すぎるし……考えてみれば、二度見したくなるのも仕方ない二人組だよね。
この不躾な視線が、一回だったら気のせいだって思えた。でも、何度も浴びたら、卑屈にもなるもんだ。