夢から逃げた私ですが、過保護なエリート弁護士に溺愛されてます
 とっさに「警察呼びますよ!」といえば、私の手首を掴んでいた手に力が込められた。

「痛っ……」
「警察? 俺、なにもしてないだろう?」
「今、私に触っってるじゃないですか。暴行罪で訴えますよ!」
「は? 殴ってもいないのに、暴行ってのはおかしいだろう」

 表情が険しくなった男は、さらに力を込める。
 骨が折られるんじゃないかと思うほどの痛みに、身がすくんだ。

「殴らなくても、不当に体へ触れるだけで暴行罪が成立するケースもあります。それに、さっきからあなたのしていることは、営業妨害です。これは立派に犯罪ですよ!」
「はぁ!? なんでお前にいわれなきゃなんねぇんだ。ちょっと可愛い顔してるからっていい気になんなよ。これだから女は!」

 掴まれた手首を引き上げられ、振り回されるようになった私の足がもつれた。そのまま突き飛ばされると思った直後、私の身体を誰かが支えてくれた。

「お兄さん、ちょっと落ち着こうか」

 低く穏やかな声が、降ってきた。
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