夢から逃げた私ですが、過保護なエリート弁護士に溺愛されてます
 見上げると、そこには目を細めて微笑む綺麗な顔があった。奥の席に座っていた男性だと気付き、助けに入ってくれたことに、ほっと安堵した。

 私の前に踏み出した男性は笑顔のまま、男を見下ろす。
 酔っ払い男の背が低いわけじゃないけど、この男性はそれよりも身長が高い。190センチはありそうだ。彼の背中に庇われた私は、横からそっと覗かないと様子が伺えない。

「これ以上騒ぎになったら、店も警察呼ばざるを得なくなると思うんだけど。それは、お兄さんも困るんじゃない?」
「はあ? 俺は警察呼ばれることなんてしてないし。その女が勘違いしたんだろう!」
「だとしても、お兄さんもあまり勘違いされることは控えた方がいいよ。最近はメディアでも法律を取り上げるし、素人でも多少は法律を知っていて口にする世の中だから」
「はっ! 俺は間違ってないから、訴えられても困らねぇし!」

 懐に手を差し込んだ男性は「そうですか」と呟くと、シルバーの名刺入れを取り出した。そうして、カウンターに名刺を一枚置く。
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