夢から逃げた私ですが、過保護なエリート弁護士に溺愛されてます
 再会した夜と同じように、渉さんは少し申し訳ない顔をした。

「頼りないなんてことないですよ。それに渉さんと再会したから、こうしてまた勉強しようって思えたんだし」
「……まあ、他の事務所にいたら引き抜くのが大変になっていただろうし、俺としてはありがたい状況だけど」
「そんなことないと思いますよ。私くらいの子はいくらでもいますってば」
「いいや。百香ちゃんは優秀だから、引く手あまただって」

 大袈裟なことをいう渉さんがおかしくて、頬が緩んだ。
 もしそうだったとしても、私はきっと渉さんの手を取る。だって、ずっとその背中を追いかけてきたんだし。

「それじゃ、買ってきますね」
「俺が買うよ」
「いいえ! これは私の勉強ですから、自分で買います」
「それなら、俺は優秀なパラリーガルに投資をする必要があると思うんだけど」

 渉さんは私の手から、書籍をひょいっと取り上げた。
 私に投資したいという言葉に、少し心が揺れた。だけど──

「ダメです。私は自己投資して、渉さんに肩を並べても恥ずかしくないパラリーガルになりたいんです!」
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