夢から逃げた私ですが、過保護なエリート弁護士に溺愛されてます
「ああ、知り合いがいた気がしたんだけど、人違いだったみたいだ」
「知り合い?……すごく怖い顔してましたよ」
「ええ、そうだった? また目が悪くなったかな……」

 目頭を摘まむようにして苦笑した渉さんは、いつもの穏やかな顔に戻った。

「パソコンの見すぎかな。最近、よく人の顔も見間違えるんだよね」
「眼精疲労とか、ドライアイとか?」
「ああ、コンタクトだとどうしても目が乾くよね」

 あるあると頷きながら、渉さんは私の持つ紙袋に手を伸ばし、持つよといいながら歩き出した。

 渉さんの横を歩きながら、もう一度、彼の見ていた方角に視線を向ける。やっぱりそこには、なんの変哲もない休日の風景が広がっていた。
 だけど、渉さんの鋭い眼差しを思い出すと、少しだけ胸の奥がざわめいた。
 見かけたのは、本当に知り合いだったのかな。
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