夢から逃げた私ですが、過保護なエリート弁護士に溺愛されてます
「……お仕事、終わりましたか?」
「そんなこと心配しないで、おやすみ」

 努めて優しく、その細い肩を叩く。幼子を寝かしつけるように、百香ちゃんの呼吸に合わせてゆっくりと。

「おやすみなさい」と囁きが聞こえ、俺に身体を寄せた百香ちゃんは再び瞳を閉ざした。
 胸に寄せられた身体から、じんわりと体温が伝わってくる。それに、百香ちゃんの髪からは使い慣れたシャンプーの香りが漂ってきた。

 毎日使っているシャンプーの香りだというのに、どうしてこんなに甘く感じるのか。
 髪にそっと触れ、唇を寄せてみる。

 規則正しい寝息が、俺を信じてくれているんだと告げているようだった。
 頬にそっと口付けて、もう一度「おやすみ」といえば、その柔らかな頬が胸に押し付けられた。

 もしかしたら、起きているのかもしれない。

 その先まで踏み込みたくなる衝動を抑え込み、理性と欲望のせめぎ合う狭間で「必ず守る」と誓いながら眠りに落ちた。
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