夢から逃げた私ですが、過保護なエリート弁護士に溺愛されてます

 翌朝、二人で軽い朝食を取ってからすぐに百香ちゃんのマンションへ向かった。
 車内でそわそわする百香ちゃんは、なかなか俺の方を見てくれない。
 肩を並べた朝食もそうだったが、化粧をしていない顔を見られたくないといって、すぐに顔を逸らしてしまう。

「化粧をしないでも、百香ちゃんは可愛いけどな」
「……ダメです。服だって昨日のままだし、こんな姿で店長に会うわけにはいかないです」
「まあ、社会人としては当然か。だけど」

 交差点でブレーキを踏む。
 横で顔から手が離せない百香ちゃんの手首をそっと掴んだ。

「俺には見せてもいいんじゃない?」
「……そ、それは」
「結婚しても、素顔を見せないつもりかな?」

 手首を少し引き、白い指先にそっと唇を寄せる。そうして視線だけ百香ちゃんに向けると、白い頬がチークをさしたように赤く染まった。

「この前いったよね。公私ともに支え合えるパートナーになりたいって」
「あの、それって、その……」
「俺は本気だ。だけど、百香ちゃんはまだ遠慮しているよね。だから昨夜、最善策を考えたんだ」

 懐から一通の封筒を取り出して渡すと、百香ちゃんは不思議そうな顔をして受け取った。
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