夜明けが世界を染めるころ
お嬢さまはにっこり笑う。

「だから、ご飯いっぱい食べてね。
レオの作るご飯は本当に美味しいんだから」

言われて、俺はこくんと頷く。

(……うん、食べよう)

――やっと、素直に思えた。

「……あ、悪かったな。
誤解してて。テオだっけ?
俺のご飯、食べてくれよな!」

ニカッ、と明るく笑うレオ。
パワーはすごいけど、やっぱり料理人なんだ。
そう思うと、少し安心した。

「ちょっと、何事ですか?
って、このドアどうしたんですか」

ユウリもやってきた。
俺とレオを交互に見て、眉をひそめる。

お嬢様はため息をつきながら、事情を説明する。

「……やれやれ」

頭を抱えるユウリを見て、
なんだかほっとする自分がいた。

「まず、レオ!」

ユウリの声は少し厳しい。

「早とちりしないように!
扉の修理費は一部、給料から引かせてもらいます」

「はい!」

「次、セナ。
テオの食事や行動をもう少し注意すること。
どうやら、その辺の野草を食べていたようです」

「はい」

そして、俺の方を見て言う。

「そして、テオ。
お嬢様の言うとおりです。
まずは、貴方の健康が第一。
自分を大切にしなさい」

「はい……」

深く頷く。
初めて、誰かに「自分を大切にしろ」と言われた。

――そして、最後にお嬢様の方を向いて。

「あと、お嬢様」

「え!? わたしも!?」

お嬢様は目を大きく見開き、驚いている。
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