夜明けが世界を染めるころ
「人に自分を大切にするようにと言っていましたが、
お嬢様もですよ!
しっかり食べて、休んでください。
ほら、行きますよ」

ユウリの声は、穏やかだけど力強い。
あの人、本当に何でもできそうだ。

「わかったよー、じゃあまたね」

そう返すと、
お嬢様は笑顔で連れていかれた。
……あのユウリって人が、実は1番最強なのでは、と少し思う。

しばらく沈黙。
部屋に残るのは、まだ少し揺れる扉と、朝の光。

「テオ、その辺の草を食べるな。
あと、ちゃんと見れてなくて悪かったな」

セナの声。
謝られると少し戸惑う。
別に、この人のせいではないのだけど――
まあ、いいか。

こくんと頷く。
小さく、でも確かに、自分の気持ちを込めて。

「よし、じゃあみんなで朝飯食うぞ」

レオが明るく声をかけ、
俺はその後に続く。

部屋を出ると、
朝の光が柔らかく差し込み、
騎士団の棟をゆっくりと歩く。

――このドア、いつ直るのかな……

まだ少し気になるけど、
今はいい。
ちゃんと、温かいご飯を食べることが先決だ。

足取りは軽くないけれど、
これも、俺の一歩だ。
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