夜明けが世界を染めるころ
「それより、お嬢様も人が悪いですね」
ユウリの声が、少しだけ低くなる。
「何が?」
「もし、テオが試験に受からなかったら、
どうするつもりだったんですか?」
――ドクン。
心臓が、強く脈打った。
……そうだ。
1年の期限。
結果を出せなければ――
(……捨てられてた?)
喉が、ひゅっと鳴る。
影に隠れたまま、
息を殺して、次の言葉を待つ。
少しの沈黙。
それから――
「どうしたと思う?」
お嬢様の問いに、ユウリは肩をすくめた。
「……まったく。
もし落ちたとしても、もう1年引き伸ばすつもりでしたね」
その言葉に、胸が跳ねる。
――嘘だ。
そんなはず、ない。
使えないやつは捨てられる。
それが、当たり前だと思っていた。
「まあね」
お嬢様は、どこか得意げに言う。
「そのために、お父様を説得する手札は
ちゃんと揃えてあったもの!」
ふふふ、と小さく笑う。
……言ってることは少し悪役みたいなのに、
どうしてこんなに可愛いんだろう。
「さすがです」
ユウリが、素直に感心した声を出す。
「……お嬢さま」
その声に、はっとして振り返る。
「あ、テオ!
合格おめでとう!!」
「おめでとうございます」
2人が、穏やかに笑いかけてくる。
胸の奥が、ぎゅっと締めつけられる。
俺は、ゆっくりと前に出て――
その場に膝をついた。
「俺……もっと強くなります」
声は、震えていない。
「セナよりも、誰よりも強くなります」
顔を上げ、まっすぐ見つめる。
「だから――
俺を、お嬢さまのそばに、ずっといさせてください」
願いじゃない。
誓いだ。
一瞬の沈黙。
それから――
「うん」
お嬢様は、優しくうなずいた。
「私のそばにいて」
そして、いつもの――
いや、今日はいっそう綺麗な笑顔で言う。
「よろしくね」
その一言で、
胸の奥がいっぱいになる。
「……はい」
つられて、頬が緩んだ。
ユウリの声が、少しだけ低くなる。
「何が?」
「もし、テオが試験に受からなかったら、
どうするつもりだったんですか?」
――ドクン。
心臓が、強く脈打った。
……そうだ。
1年の期限。
結果を出せなければ――
(……捨てられてた?)
喉が、ひゅっと鳴る。
影に隠れたまま、
息を殺して、次の言葉を待つ。
少しの沈黙。
それから――
「どうしたと思う?」
お嬢様の問いに、ユウリは肩をすくめた。
「……まったく。
もし落ちたとしても、もう1年引き伸ばすつもりでしたね」
その言葉に、胸が跳ねる。
――嘘だ。
そんなはず、ない。
使えないやつは捨てられる。
それが、当たり前だと思っていた。
「まあね」
お嬢様は、どこか得意げに言う。
「そのために、お父様を説得する手札は
ちゃんと揃えてあったもの!」
ふふふ、と小さく笑う。
……言ってることは少し悪役みたいなのに、
どうしてこんなに可愛いんだろう。
「さすがです」
ユウリが、素直に感心した声を出す。
「……お嬢さま」
その声に、はっとして振り返る。
「あ、テオ!
合格おめでとう!!」
「おめでとうございます」
2人が、穏やかに笑いかけてくる。
胸の奥が、ぎゅっと締めつけられる。
俺は、ゆっくりと前に出て――
その場に膝をついた。
「俺……もっと強くなります」
声は、震えていない。
「セナよりも、誰よりも強くなります」
顔を上げ、まっすぐ見つめる。
「だから――
俺を、お嬢さまのそばに、ずっといさせてください」
願いじゃない。
誓いだ。
一瞬の沈黙。
それから――
「うん」
お嬢様は、優しくうなずいた。
「私のそばにいて」
そして、いつもの――
いや、今日はいっそう綺麗な笑顔で言う。
「よろしくね」
その一言で、
胸の奥がいっぱいになる。
「……はい」
つられて、頬が緩んだ。