夜明けが世界を染めるころ
テオの言葉に胸が締めつけられた、そのとき。
ふと、耳元で揺れるタンザナイトが光を返す。
――セナ。
脳裏に、彼の声や笑顔がよぎる。
その一瞬の迷いを、テオは見逃さなかった。
触れていた指が、ほんのわずかに止まる。
「……今、セナ副団長のこと考えた?」
責める響きはない。
ただ、静かで、優しい問い。
答えられずにいると、テオは小さく息を吐いた。
「そっか」
それでも、離れない。
むしろ、そっと額を私の額に預ける。
「いいよ」
微笑みは穏やかなのに、胸の奥を締めつける。
「お嬢さまが誰かを大切に思ってるの、
ちゃんと分かってる」
指先が、タンザナイトをなぞる。
「それが俺じゃなくても」
その言葉に、胸が痛んだ。
「……でもね」
テオの声が、少しだけ低くなる。
「考えちゃうんだ。
この宝石を見て、
誰のことを思い浮かべてるのかとか」
苦笑まじりに、でも視線は逸らさない。
「今この瞬間、
お嬢さまの心にいるのは……誰なんだろう、って」
テオの親指が、私の手の甲をそっと撫でる。
「ただ……」
囁く声は、切なくて甘い。
「俺のことも、
少しは揺らしてくれてるなら……
それで、十分だから」
タンザナイトが、2人の間で静かに揺れた。
「テオ……」
その名前を呼んだだけで、胸の奥に溜めていたものが溢れそうになる。
「私は……」
「言わなくていいよ」
やさしく遮る声。
それなのに、強い。
「だから、お嬢さまの行くところに俺も連れてって。
一緒に、背負わせて」
その言葉に、喉が詰まる。
「……私ね、テオが大切だよ。
テオには、陽の光が当たる穏やかな場所で、笑ってほしいって言ったでしょ?
それは、嘘じゃないよ」
震える声で続ける。
「でも……私、ずるいの。
これからテオを連れて行こうとしてる場所は、その逆。
暗くて……どうしようもない道かもしれない」
胸に手を当てる。
自分の鼓動が、こんなにも不安定だなんて。
「…テオが、私を想ってくれてるのを分かってて、
それに……漬け込もうとしてる」
言い切った瞬間、視界が滲んだ。
「お嬢さま」
テオの声は、静かで、揺れていなかった。
「俺ね。
お嬢さまがいない陽の光を歩いたって、
それは俺にとって……地獄と同じ」
そっと、両手を取られる。
「だったら、暗くてどうしようもない場所でもいい。
お嬢さまが、そこにいてくれるなら」
真っ直ぐな瞳。
迷いのない、覚悟の色。
「それは俺にとって、幸せなことだよ」
そのまま、目を逸らさずに続ける。
「だから――」
ぎゅっと、手に力がこもる。
「俺も一緒にいく。
お嬢さまと一緒に、陽の光が当たる穏やかで明るい未来を歩くために」
朝の光の中で、
テオが柔らかく微笑んだ。
ふと、耳元で揺れるタンザナイトが光を返す。
――セナ。
脳裏に、彼の声や笑顔がよぎる。
その一瞬の迷いを、テオは見逃さなかった。
触れていた指が、ほんのわずかに止まる。
「……今、セナ副団長のこと考えた?」
責める響きはない。
ただ、静かで、優しい問い。
答えられずにいると、テオは小さく息を吐いた。
「そっか」
それでも、離れない。
むしろ、そっと額を私の額に預ける。
「いいよ」
微笑みは穏やかなのに、胸の奥を締めつける。
「お嬢さまが誰かを大切に思ってるの、
ちゃんと分かってる」
指先が、タンザナイトをなぞる。
「それが俺じゃなくても」
その言葉に、胸が痛んだ。
「……でもね」
テオの声が、少しだけ低くなる。
「考えちゃうんだ。
この宝石を見て、
誰のことを思い浮かべてるのかとか」
苦笑まじりに、でも視線は逸らさない。
「今この瞬間、
お嬢さまの心にいるのは……誰なんだろう、って」
テオの親指が、私の手の甲をそっと撫でる。
「ただ……」
囁く声は、切なくて甘い。
「俺のことも、
少しは揺らしてくれてるなら……
それで、十分だから」
タンザナイトが、2人の間で静かに揺れた。
「テオ……」
その名前を呼んだだけで、胸の奥に溜めていたものが溢れそうになる。
「私は……」
「言わなくていいよ」
やさしく遮る声。
それなのに、強い。
「だから、お嬢さまの行くところに俺も連れてって。
一緒に、背負わせて」
その言葉に、喉が詰まる。
「……私ね、テオが大切だよ。
テオには、陽の光が当たる穏やかな場所で、笑ってほしいって言ったでしょ?
それは、嘘じゃないよ」
震える声で続ける。
「でも……私、ずるいの。
これからテオを連れて行こうとしてる場所は、その逆。
暗くて……どうしようもない道かもしれない」
胸に手を当てる。
自分の鼓動が、こんなにも不安定だなんて。
「…テオが、私を想ってくれてるのを分かってて、
それに……漬け込もうとしてる」
言い切った瞬間、視界が滲んだ。
「お嬢さま」
テオの声は、静かで、揺れていなかった。
「俺ね。
お嬢さまがいない陽の光を歩いたって、
それは俺にとって……地獄と同じ」
そっと、両手を取られる。
「だったら、暗くてどうしようもない場所でもいい。
お嬢さまが、そこにいてくれるなら」
真っ直ぐな瞳。
迷いのない、覚悟の色。
「それは俺にとって、幸せなことだよ」
そのまま、目を逸らさずに続ける。
「だから――」
ぎゅっと、手に力がこもる。
「俺も一緒にいく。
お嬢さまと一緒に、陽の光が当たる穏やかで明るい未来を歩くために」
朝の光の中で、
テオが柔らかく微笑んだ。