夜明けが世界を染めるころ
セナと子どもたちに目をやる。


「トウマくん、ユイちゃん、コトくん」

名前を呼ぶと、セナと遊んでいた3人の子どもたちが、ぴたりと足を止めた。

「え、なんで名前知ってるのー?」
「あ、もしかしてセナにぃちゃんの彼女?」
「そうなのー? いつから?」

矢継ぎ早に飛んでくる言葉に、私は思わず笑みを浮かべる。

「ふふっ、私は物知りなの。なんでも知ってるぞー」

そう言って、トウマくんの鼻先にちょん、と指を当てる。

「はい、どうぞ」

それぞれに用意していた包みを差し出した。

トウマくんには新しい靴。
ユイちゃんには、少し背伸びした可愛らしいドレス。
コトくんには、分厚いけれど絵の多い図鑑。

「なんで欲しいもの、わかったのー?」
「すごーい……!」
「ありがとう」

3人とも、宝物を抱えるように胸に抱きしめ、きらきらした目でこちらを見上げてくる。

「セナお兄ちゃんはね、みんなにとって大切な人だと思うけど私にとっても大切な人なの。カッコ良くて強くて優しいよね」

私はゆっくり言葉を選びながら、3人の顔をみる。
子どもたちは、真剣な顔で聞いている。

「だからね。みんなもお母さんの言うことをちゃんと聞いて
セナお兄ちゃんに誇れるような人になってね」

そう伝えると、3人は顔を見合わせ、

「わかった!」

と、力強く声をそろえて返事をした。

その背後で、少し離れた場所に立つセナが、何も言わずこちらを見ていた。
けれど、その表情は、いつもよりずっと柔らかかった。
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