夜明けが世界を染めるころ
一度、自室に戻ることにした。
廊下に出ると、さっきまでの喧騒が嘘のように静かだ。
雷鳴はまだ遠くで唸っているけれど、屋敷の中は不思議と落ち着いている。
廊下の途中、ユウリがすぐに駆け寄ってきた。
「お嬢様……何か、あったのですね」
隠す気もない。
「とりあえず部屋で」
そう短く伝え部屋に戻って椅子に腰を下ろし、短く息を吐いてから今日の出来事を話した。
デホラ男爵の侵入。
宝石の侵食。
レイさんが迷いなく剣を振るったこと。
そして――殿下が最初から“来るとわかっていた”ような振る舞いだったこと。
ユウリは一言も挟まず、静かに聞いていた。
「……そうでしたか」
最後にそう呟いて、少しだけ目を伏せる。
「殿下は、やはり只者ではありませんね」
「ええ。
それで……このあと殿下と話をすることになったの」
そう告げると、ユウリは一瞬だけ考え込み、
「でしたら、私もご一緒しましょうか」
と、いつものように自然に言った。
その気遣いが嬉しくて、でも――
「ううん」
私は首を振る。
「2人きりで話すわ」
ユウリの目が、わずかに揺れた。
「……承知しました」
それ以上、何も言わない。
止めもしないし、理由も聞かない。
代わりに、そっとクローゼットから一枚取り出して私の肩に掛けた。
「夜は冷えますので。
こちらを」
柔らかなカーディガン。
「ありがとう」
「どうか、お気をつけて。
……お嬢様」
私は小さく頷き、扉に手をかける。
廊下に出ると、さっきまでの喧騒が嘘のように静かだ。
雷鳴はまだ遠くで唸っているけれど、屋敷の中は不思議と落ち着いている。
廊下の途中、ユウリがすぐに駆け寄ってきた。
「お嬢様……何か、あったのですね」
隠す気もない。
「とりあえず部屋で」
そう短く伝え部屋に戻って椅子に腰を下ろし、短く息を吐いてから今日の出来事を話した。
デホラ男爵の侵入。
宝石の侵食。
レイさんが迷いなく剣を振るったこと。
そして――殿下が最初から“来るとわかっていた”ような振る舞いだったこと。
ユウリは一言も挟まず、静かに聞いていた。
「……そうでしたか」
最後にそう呟いて、少しだけ目を伏せる。
「殿下は、やはり只者ではありませんね」
「ええ。
それで……このあと殿下と話をすることになったの」
そう告げると、ユウリは一瞬だけ考え込み、
「でしたら、私もご一緒しましょうか」
と、いつものように自然に言った。
その気遣いが嬉しくて、でも――
「ううん」
私は首を振る。
「2人きりで話すわ」
ユウリの目が、わずかに揺れた。
「……承知しました」
それ以上、何も言わない。
止めもしないし、理由も聞かない。
代わりに、そっとクローゼットから一枚取り出して私の肩に掛けた。
「夜は冷えますので。
こちらを」
柔らかなカーディガン。
「ありがとう」
「どうか、お気をつけて。
……お嬢様」
私は小さく頷き、扉に手をかける。