夜明けが世界を染めるころ
「次は何が聞きたい?」
殿下が首を傾げる。
「あの人が誰なのか、教えてください」
「随分直球だな」
「話す気がないのであれば、デザートを食べ終わり次第、退室させてもらいます」
そう言って、フォークでシフォンケーキをつつき、一口頬張った。
「つれないな。……まあいい。
“あの人”というのは、私の叔父――ガイル・アレキサンドライトだ」
ガイル様は、現国王ジョルジュ・アレキサンドライトの次男である。
長男である殿下のお父様はすでに亡くなっている。
「ですが……なぜガイル様が殿下を?」
殿下をどうにかしたところで、何が変わるというのか。
なぜ暗殺まで企てる必要があるのか――。
「ティアナ嬢、王位継承権が認められる条件を知っているかい?」
「はい。王族の血筋であることと、
瞳の色がアレキサンドライトと同じエメラルド色であること、ですよね」
ジョルジュ陛下は、このアレキサンドライト王国の発展に大きく貢献してきた名君だ。
彼がいたからこそ、国はここまで繁栄したと言われている。
そして陛下自身も、エメラルド色の瞳を持っていた。
だが息子たちはその瞳の色を受け継がず、
唯一、孫である王子ディラン殿下だけがエメラルドの瞳を持って生まれた。
「そう。だからジョルジュ陛下の息子である叔父は、王位継承権から外されている。
ガイル伯父上はそれを疎ましく思っていてね。
陛下に従順なふりをしながら、密かに王の座を狙っているのさ」
「それは……また」
殿下は優雅に紅茶を口に運び、静かに足を組む。
その所作はあまりにも落ち着いており、まるで自分の身に起きていることではないかのようだった。
私は紅茶を少し口に含みながら、思考を巡らせる。
――ジョルジュ陛下は、非常に頭の切れる人物だと聞いている。
しかも、陛下自身がディラン殿下を次期国王として推している。
そんな人物が、
自分のすぐ身近に危険な存在がいることに――
本当に気づいていないはずがあるのだろうか。
殿下が首を傾げる。
「あの人が誰なのか、教えてください」
「随分直球だな」
「話す気がないのであれば、デザートを食べ終わり次第、退室させてもらいます」
そう言って、フォークでシフォンケーキをつつき、一口頬張った。
「つれないな。……まあいい。
“あの人”というのは、私の叔父――ガイル・アレキサンドライトだ」
ガイル様は、現国王ジョルジュ・アレキサンドライトの次男である。
長男である殿下のお父様はすでに亡くなっている。
「ですが……なぜガイル様が殿下を?」
殿下をどうにかしたところで、何が変わるというのか。
なぜ暗殺まで企てる必要があるのか――。
「ティアナ嬢、王位継承権が認められる条件を知っているかい?」
「はい。王族の血筋であることと、
瞳の色がアレキサンドライトと同じエメラルド色であること、ですよね」
ジョルジュ陛下は、このアレキサンドライト王国の発展に大きく貢献してきた名君だ。
彼がいたからこそ、国はここまで繁栄したと言われている。
そして陛下自身も、エメラルド色の瞳を持っていた。
だが息子たちはその瞳の色を受け継がず、
唯一、孫である王子ディラン殿下だけがエメラルドの瞳を持って生まれた。
「そう。だからジョルジュ陛下の息子である叔父は、王位継承権から外されている。
ガイル伯父上はそれを疎ましく思っていてね。
陛下に従順なふりをしながら、密かに王の座を狙っているのさ」
「それは……また」
殿下は優雅に紅茶を口に運び、静かに足を組む。
その所作はあまりにも落ち着いており、まるで自分の身に起きていることではないかのようだった。
私は紅茶を少し口に含みながら、思考を巡らせる。
――ジョルジュ陛下は、非常に頭の切れる人物だと聞いている。
しかも、陛下自身がディラン殿下を次期国王として推している。
そんな人物が、
自分のすぐ身近に危険な存在がいることに――
本当に気づいていないはずがあるのだろうか。