夜明けが世界を染めるころ
セナside
煙が薄れ、騎士団の足音が遠ざかる。
ユウリがお嬢様を連れて先に下がり、残ったのは――俺と殿下だけだった。
夜風が、焼けた石と草の匂いを運んでくる。
「……殿下」
俺は、あえてそう呼んだ。
サーフェスでも、気さくな仮面でもなく。
殿下は足を止め、こちらを見た。
逃げも、誤魔化しもしない目だ。
「聞きたいことがあります」
「いいよ。君が黙っていられないのは、顔を見ればわかる」
俺は一度、拳を握り締めてから口を開いた。
「今回の件、理屈はわかります。
宝石に飲まれかけた連中を一箇所に集めて、核を壊す。犠牲は最小限だ」
殿下は黙って聞いている。
「ですが」
声が、少し低くなる。
「それを“守られる側”に知らせずにやるやり方は……俺は嫌いだ」
一瞬、沈黙。
「彼女――ティアナは、駒じゃない」
殿下の表情が、わずかに変わった。
だが、言い訳はしない。
「知っている」
「知ってて、巻き込んだんだろ」
「……ああ」
即答だった。
その潔さが、余計に腹立たしい。
「もし失敗していたら?」
「宝石の暴走が想定を超えていたら?」
「彼女が、間に合わなかったら?」
俺は殿下を睨む。
剣を向ける代わりに、言葉で斬る。
「そのとき、貴方はどう責任を取るつもりだった」
殿下は視線を逸らし、夜空を見上げた。
「王子としてではない。一人の人間として、だ」
それから、こちらを見る。
「君が斬りに来るなら、受けるつもりだった」
……本気だ。
冗談でも、演技でもない。
「彼女が傷つく結果になったなら。君が俺を許さないのは、当然だからね」
胸の奥が、少しだけ冷えた。
それはそうかもしれない。
お嬢様が進むと決めた…それでもだ。
「……殿下」
俺は深く息を吐く。
「俺は、貴方を信用しきれない。今回の判断が正しかったかどうかも、まだわかりません。
貴方が孤児院でのボランティアのときお嬢様の力を守ろうとしたことには感謝してます。
でもやはり…今回の件は納得できない。」
殿下は静かに頷く。
「それでいい」
「だが」
俺は一歩、距離を詰めた。
殿下の目を、真正面から見る。
「彼女を守りたいという目的は同じだ」
その言葉に、殿下はほんの少しだけ笑った。
「心強いな。君が味方でいてくれるなら」
「勘違いしないで下さい」
俺は言い切る。
「彼女の味方であって、貴方の部下になるつもりはない」
「それで十分だ」
夜風が2人の間を抜けていく。
この男は危険だ。
だが同時に――
逃げずに責任を背負う覚悟だけは、嘘じゃない。
「……一つだけ約束して下さい」
「何だい」
「次に彼女を巻き込むなら 必ず、選ばせろ」
殿下は、はっきりと頷いた。
「約束する」
その言葉をたが
まだ信用はしない。
だが――敵として斬る理由も、ない。
煙が薄れ、騎士団の足音が遠ざかる。
ユウリがお嬢様を連れて先に下がり、残ったのは――俺と殿下だけだった。
夜風が、焼けた石と草の匂いを運んでくる。
「……殿下」
俺は、あえてそう呼んだ。
サーフェスでも、気さくな仮面でもなく。
殿下は足を止め、こちらを見た。
逃げも、誤魔化しもしない目だ。
「聞きたいことがあります」
「いいよ。君が黙っていられないのは、顔を見ればわかる」
俺は一度、拳を握り締めてから口を開いた。
「今回の件、理屈はわかります。
宝石に飲まれかけた連中を一箇所に集めて、核を壊す。犠牲は最小限だ」
殿下は黙って聞いている。
「ですが」
声が、少し低くなる。
「それを“守られる側”に知らせずにやるやり方は……俺は嫌いだ」
一瞬、沈黙。
「彼女――ティアナは、駒じゃない」
殿下の表情が、わずかに変わった。
だが、言い訳はしない。
「知っている」
「知ってて、巻き込んだんだろ」
「……ああ」
即答だった。
その潔さが、余計に腹立たしい。
「もし失敗していたら?」
「宝石の暴走が想定を超えていたら?」
「彼女が、間に合わなかったら?」
俺は殿下を睨む。
剣を向ける代わりに、言葉で斬る。
「そのとき、貴方はどう責任を取るつもりだった」
殿下は視線を逸らし、夜空を見上げた。
「王子としてではない。一人の人間として、だ」
それから、こちらを見る。
「君が斬りに来るなら、受けるつもりだった」
……本気だ。
冗談でも、演技でもない。
「彼女が傷つく結果になったなら。君が俺を許さないのは、当然だからね」
胸の奥が、少しだけ冷えた。
それはそうかもしれない。
お嬢様が進むと決めた…それでもだ。
「……殿下」
俺は深く息を吐く。
「俺は、貴方を信用しきれない。今回の判断が正しかったかどうかも、まだわかりません。
貴方が孤児院でのボランティアのときお嬢様の力を守ろうとしたことには感謝してます。
でもやはり…今回の件は納得できない。」
殿下は静かに頷く。
「それでいい」
「だが」
俺は一歩、距離を詰めた。
殿下の目を、真正面から見る。
「彼女を守りたいという目的は同じだ」
その言葉に、殿下はほんの少しだけ笑った。
「心強いな。君が味方でいてくれるなら」
「勘違いしないで下さい」
俺は言い切る。
「彼女の味方であって、貴方の部下になるつもりはない」
「それで十分だ」
夜風が2人の間を抜けていく。
この男は危険だ。
だが同時に――
逃げずに責任を背負う覚悟だけは、嘘じゃない。
「……一つだけ約束して下さい」
「何だい」
「次に彼女を巻き込むなら 必ず、選ばせろ」
殿下は、はっきりと頷いた。
「約束する」
その言葉をたが
まだ信用はしない。
だが――敵として斬る理由も、ない。