夜明けが世界を染めるころ
「お嬢さまぁ〜」

のらりくらりと近づいてきたテオが、背後から私に抱きつく。

「テオ、最近調子どう?」

「うーん、普通かな。でも、今お嬢様に会ったから絶好調になった!」
へにゃりと笑うテオ。


「テオ、お嬢様から離れろ」

セナがすっと現れ、テオの首根っこを掴む。

「はいはい……」

テオは渋々手を離すが、顔は満足そうだ。

「セナも、調子はどう?」

「大丈夫です」

「そう、なら良かった」

少し間を置いて、セナが私に目を向ける。
「お嬢様こそ……お疲れでは?」

昨夜の蝶の会のことを思い出してか、彼の声にはわずかな緊張が含まれている。

「大丈夫よ。身体を動かしている方が気が紛れる」

そう微笑んで見せると、セナもつられて笑った。

「俺もです」

軽く肩をすくめるその姿に、昨夜の緊張はまだ残るものの、少しだけ日常の空気が戻ったように感じられた。
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