夜明けが世界を染めるころ
「それより、今日は第2騎士団も近くで訓練してるのね」

「ええ、ボランティアの一件以来、交流は多少ありますが……やはり第3騎士団を甘く見ている人もいますね」

その言葉通り、こちらに向かって歩いてくるのは――エリック副団長だ。
第2騎士団副団長。貴族主義で、平民や市民出身の第3騎士団を心底軽く見ている男である。

「お嬢様、こんにちは。こんな野蛮な連中とつるんでいては、万が一怪我でもしたら傷物になりますよ」

嫌味たっぷりな声に、後ろでキレかけているテオをそっと制止する。

「こんにちは、エリック副団長。ご心配ありがとうございます。ですが余計な心配ですよ」

にっこりと微笑む。

「そうでしょうか。こんなガサツな連中と一緒にいたら、お嬢様の品位も落ちますよ。
でも、ルーク団長やセナ副団長は別です。この二方は非常に強く、騎士道を重んじている方ですからね。
セナ副団長も、宜しければ第2騎士団にいらっしゃいませんか?設備も第3騎士団より遥かに整ってますよ」

後ろにいるセナに目を向けるエリック副団長。

「ありがとうございます。ですが、遠慮します。私は第3騎士団を気に入ってますので」

セナはしれっと断る。

「それは残念です」

エリック副団長は、大袈裟に肩を落とす。

テオは思わず口を尖らせて、「ねぇ、あいつやっていい?」と小さく呟くが、すぐセナに制される。


「エリック副団長、あなたが思っているより第3騎士団は強いですよ?」

意味深に微笑む私に、エリック副団長の眉がピクッと動いた。

「そうでしょうか……仲間同士でつるんでお遊びしているように見えますがね」

「なんだと!」

ロベルトがキレかかり、アレンが必死に宥める。
後ろのセナやテオも、そろそろイライラが隠せないようだ。

「おお、こわいこわい……」

その時、視界の端に歩いてくる影。

「エリック!」

オリバー団長だ。

「オリバー団長」

セナ達が一礼する。
団長は、私とのお見合いの時には少しおどおどしていたが、騎士団員の前では堂々とした威厳をまとっている。

「何をしている」

「お嬢様が怪我をされないか心配していたんです」
エリック副団長が答えると、ロベルトが前に出てくる。

「ちがうだろ!俺たちのことバカにしやがって!」

アレンは「あああ……」と情けない声をあげ、周囲も少し騒がしくなる。
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