夜明けが世界を染めるころ
闇の中で戦い続ける。敵の数は次第に増え、周囲からの圧力が2人を押しつぶすように迫る。
光と氷、風の刃が交錯し、共鳴の振動が微かに体に伝わる。息を切らしながらも、私たちは一歩も引かない。

「セナ、左から!」
私は共鳴を剣に流し、風の刃を旋回させる。
セナは氷の剣で相手の動きを封じつつ、微細な振動でこちらの攻撃の軌道を正確に合わせる。
敵の刃は跳ね返され、冷気が闇の中で舞う。

次々に増える敵を、私たちは押されながらも撃破していく。
1人を斬り倒し、また1人を氷で足止めし、共鳴の力で互いの動きを補う。
背中を預けるように戦うことで、2人の攻撃は正確さと威力を増す。

だが、数の優位は次第に致命的な圧力となる。
風の刃がかすめ、氷の刃が敵を封じるも、最後の1人――鋭い光を帯びた剣士が私に迫り、それも倒した。


これで終わった…
さすがに人数多すぎ。体力ももう僅かだ。
そう気を抜いた瞬間だった。

「お嬢さま――!」
セナの声が割れ、体が先に反応した。
次の瞬間、影から出てきた敵は私を斬りかかろうとした刃を振るう。
私は避けようとしたが間に合わない。

「…!」
氷の剣が光を放ち、敵の刃と衝突し、仕留めた。
だが、その反動で刃がセナの肩を貫く。

私の胸に熱いものが走る。セナの顔が歪み、氷の魔宝剣が手から滑る。
セナは地面に崩れ、血が氷の刃に沿って輝く。

「セナ!」

「…お嬢様は…けがはないですか?」
言葉が胸に詰まる。深い傷を負いながら、私を思いやるその姿に、どうしようもなく胸が苦しくなる。

「私は平気よ。それよりセナが…」

「……とりあえず、そこの湖まで行きましょう」
血で濡れた手をグッと握りしめ、セナは立ち上がる。
私は肩に手を回し、力を込めて支えながら歩き出す。

血がぽたぽたと地面に落ちる。
痛みに顔をゆがめ、一瞬だけ眉を寄せる。
けれど、私にはわずかに笑みを浮かべて見せた。

湖のほとりにたどり着くと、漆黒の闇がゆっくりと薄紫に溶け、空が淡く光り始めながら水面を揺らしている。
もうすぐ夜明けだ。

静寂の中、深く息をつき、セナをそっと座らせる。
「ここなら…少し休めるよ」
私がそう言うと、セナは微かに頷き、ゆっくりと目を閉じる。
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