夜明けが世界を染めるころ
夜気が、肌に冷たい。
会場を離れ、街道へと踏み出した瞬間、俺は空気の違いを察した。
――静かすぎる。
(来ているな)
足を止めることなく、魔力を薄く周囲へ広げる。
返ってくる感触は、意図的に抑えられた気配。
隠す気のある配置だ。
「レイ」
「同感です」
隣を歩くレイが即座に応じる。
「正面と左右。逃がす気はありませんね」
小さく息を吐いた。
(ティアナ……間に合え)
次の瞬間、闇が動いた。
「殿下!」
刃が閃く。
私は半歩踏み込み、迷いなく剣を抜いた。
「下がるな、迎え撃つ!」
「我が剣に応えよ、アレキサンドライト」
命令と同時に、剣が火花を散らして敵の刃を弾く。
衝撃が腕を震わせるが、足は止まらない。
「――やはり来たか」
低く呟き、体勢を崩した敵の懐へ踏み込む。
一閃。
確実に、動きを奪う。
「数は?」
「少なくとも五。後続が来ます」
レイの声は冷静だ。
「足止めする。合流を最優先だ」
剣を構え直す。
殿下としてではない。
ただ一人の男として、守るために。
闇の中から、次の影が躍り出る。
「……通すと思うか」
剣に魔力を乗せ、踏み込む。
風を裂く音と共に、敵の隊列が乱れる。
(急げ)
胸の奥が、妙にざわつく。
嫌な予感が、はっきりとした形を取り始めていた。
「ティアナ……」
名を呼び、剣を振るう。
彼女の元へ辿り着くまで、倒れるわけにはいかない。
夜の闇に、金属音と魔力の閃光が弾ける。
こうして――
戦場へと完全に踏み込んだ
会場を離れ、街道へと踏み出した瞬間、俺は空気の違いを察した。
――静かすぎる。
(来ているな)
足を止めることなく、魔力を薄く周囲へ広げる。
返ってくる感触は、意図的に抑えられた気配。
隠す気のある配置だ。
「レイ」
「同感です」
隣を歩くレイが即座に応じる。
「正面と左右。逃がす気はありませんね」
小さく息を吐いた。
(ティアナ……間に合え)
次の瞬間、闇が動いた。
「殿下!」
刃が閃く。
私は半歩踏み込み、迷いなく剣を抜いた。
「下がるな、迎え撃つ!」
「我が剣に応えよ、アレキサンドライト」
命令と同時に、剣が火花を散らして敵の刃を弾く。
衝撃が腕を震わせるが、足は止まらない。
「――やはり来たか」
低く呟き、体勢を崩した敵の懐へ踏み込む。
一閃。
確実に、動きを奪う。
「数は?」
「少なくとも五。後続が来ます」
レイの声は冷静だ。
「足止めする。合流を最優先だ」
剣を構え直す。
殿下としてではない。
ただ一人の男として、守るために。
闇の中から、次の影が躍り出る。
「……通すと思うか」
剣に魔力を乗せ、踏み込む。
風を裂く音と共に、敵の隊列が乱れる。
(急げ)
胸の奥が、妙にざわつく。
嫌な予感が、はっきりとした形を取り始めていた。
「ティアナ……」
名を呼び、剣を振るう。
彼女の元へ辿り着くまで、倒れるわけにはいかない。
夜の闇に、金属音と魔力の閃光が弾ける。
こうして――
戦場へと完全に踏み込んだ