夜明けが世界を染めるころ
刃を振るい、影を斬り伏せる。
夜の闇に血と魔力の匂いが混じる中、俺は一瞬だけ息を整えた。
(……妙だ)
胸の奥が、ざわつく。
戦闘の高揚とは違う。もっと深いところ――
引き裂かれるような、不快な感覚。
「殿下?」
レイの声が届く前に、俺はわずかに膝を沈めた。
――来た。
空気が、震えた。
衝撃はない。音もない。
だが魔力の流れが一斉に逆転するような感覚が、全身を貫く。
(……共鳴?)
息を呑む。
これまで感じたどれとも違う。
荒く、必死で――命そのものを削るような波。
剣を握る手に、無意識に力が入る。
(ティアナ……?)
名を思い浮かべた瞬間、胸が締め付けられた。
喜びでも高揚でもない。
――悲鳴だ。
「……セナだ」
言葉にした瞬間、確信に変わる。
「殿下!」
レイも異変を察していた。
「ああ……共鳴が乱れている。強制的だ。
命を賭けている……」
その言葉は、誰に向けたものでもなかった。
「進路を開け!」
剣を振り払い、魔力を解放する。
「全速で合流する!」
敵を“倒す”動きから、“排除する”動きへ。
ただ前へ、道を切り拓く。
(頼む……)
胸の奥で、必死に願う。
(まだ、生きていろ)
俺は剣を握り直し、闇を裂いて走り出した。
夜の闇に血と魔力の匂いが混じる中、俺は一瞬だけ息を整えた。
(……妙だ)
胸の奥が、ざわつく。
戦闘の高揚とは違う。もっと深いところ――
引き裂かれるような、不快な感覚。
「殿下?」
レイの声が届く前に、俺はわずかに膝を沈めた。
――来た。
空気が、震えた。
衝撃はない。音もない。
だが魔力の流れが一斉に逆転するような感覚が、全身を貫く。
(……共鳴?)
息を呑む。
これまで感じたどれとも違う。
荒く、必死で――命そのものを削るような波。
剣を握る手に、無意識に力が入る。
(ティアナ……?)
名を思い浮かべた瞬間、胸が締め付けられた。
喜びでも高揚でもない。
――悲鳴だ。
「……セナだ」
言葉にした瞬間、確信に変わる。
「殿下!」
レイも異変を察していた。
「ああ……共鳴が乱れている。強制的だ。
命を賭けている……」
その言葉は、誰に向けたものでもなかった。
「進路を開け!」
剣を振り払い、魔力を解放する。
「全速で合流する!」
敵を“倒す”動きから、“排除する”動きへ。
ただ前へ、道を切り拓く。
(頼む……)
胸の奥で、必死に願う。
(まだ、生きていろ)
俺は剣を握り直し、闇を裂いて走り出した。