夜明けが世界を染めるころ
ルイは楽しそうに微笑みながら頷いた。
「命を懸けてでも守りたい人が増えていくタイプね、ティアナちゃんは」
「……それ、褒めてる?」
「もちろん」
「でも――」
ふっと表情を和らげる。
「だからこそ、あなたは一人で立たなくていいのよ」
その言葉に、胸の奥が静かに揺れた。
「支えたい人がいるなら、
支えられる人がいてもいいでしょう?」
アリスも小さく頷く。
「お嬢様は、守られることをもっと覚えるべきです」
「……難しいな」
そう呟くと、2人は顔を見合わせて微笑んだ。
「大丈夫」
「私たちが、逃がしませんから」
「え?」
冗談めかした口調なのに、妙に本気で。
ルイは、ふと手をとめる。
廊下の奥――
ごく微かな、けれど確かに覚えのある気配。
「……あら」
小さく微笑むと、何も言わず私から離れた。
「少し席を外すわね」
そう言って、ルイはアリスと顔を見合わせて扉の外へと出ていく。
入れ替わるように――
「……お嬢さま」
低く、震えた声。
次の瞬間、勢いよく抱きしめられた。
ぎゅっと、逃がさないように。
「テオ……」
「お嬢さま、戻ってきた……」
額を肩に押しつけるようにして、彼は何度も繰り返す。
「よかった……ほんとによかった……」
抱きしめる腕が、かすかに震えていた。
「……うん」
そう返すと、テオはさらに力を込める。
「無理しすぎ」
「頑張りすぎだよ」
顔を上げないまま、子どもみたいな声で言う。
「目、覚まさないって聞いたときさ……」
言葉が詰まり、息を吸い直す。
「置いていかれるんじゃないかって……」
「ほんとに……」
胸元に、熱が滲む。
「……怖かった」
長い沈黙のあと、そう呟いた。
私は、そっと彼の背中に腕を回した。
「ごめんね」
「……うん、許さないって言いたい」
「うん」
「自分を大事にしてって、いい加減にしてって言いたい」
「うん。…ごめんね」
拗ねたような声。
少し間を置いて、かすれた声が続く。
「でも」
「生きて戻ってきてくれただけで、もう十分だよ」
抱きしめる力が、少しだけ緩んだ。
「……でも、次は一人で行かないで」
その声は、冗談でも軽口でもない。
ただの、まっすぐな願い。
「ちゃんと、呼んで」
「俺、どこにでも行くから」
静かに、でも確かに。
「……絶対だよ」
私は、彼の背中を軽く叩いた。
「……うん。呼ぶ」
その返事を聞いた瞬間、
テオの肩からふっと力が抜けた。
「……約束だからね」
顔を上げた彼は、泣き笑いのまま微笑む。
「おかえり、お嬢さま」
「命を懸けてでも守りたい人が増えていくタイプね、ティアナちゃんは」
「……それ、褒めてる?」
「もちろん」
「でも――」
ふっと表情を和らげる。
「だからこそ、あなたは一人で立たなくていいのよ」
その言葉に、胸の奥が静かに揺れた。
「支えたい人がいるなら、
支えられる人がいてもいいでしょう?」
アリスも小さく頷く。
「お嬢様は、守られることをもっと覚えるべきです」
「……難しいな」
そう呟くと、2人は顔を見合わせて微笑んだ。
「大丈夫」
「私たちが、逃がしませんから」
「え?」
冗談めかした口調なのに、妙に本気で。
ルイは、ふと手をとめる。
廊下の奥――
ごく微かな、けれど確かに覚えのある気配。
「……あら」
小さく微笑むと、何も言わず私から離れた。
「少し席を外すわね」
そう言って、ルイはアリスと顔を見合わせて扉の外へと出ていく。
入れ替わるように――
「……お嬢さま」
低く、震えた声。
次の瞬間、勢いよく抱きしめられた。
ぎゅっと、逃がさないように。
「テオ……」
「お嬢さま、戻ってきた……」
額を肩に押しつけるようにして、彼は何度も繰り返す。
「よかった……ほんとによかった……」
抱きしめる腕が、かすかに震えていた。
「……うん」
そう返すと、テオはさらに力を込める。
「無理しすぎ」
「頑張りすぎだよ」
顔を上げないまま、子どもみたいな声で言う。
「目、覚まさないって聞いたときさ……」
言葉が詰まり、息を吸い直す。
「置いていかれるんじゃないかって……」
「ほんとに……」
胸元に、熱が滲む。
「……怖かった」
長い沈黙のあと、そう呟いた。
私は、そっと彼の背中に腕を回した。
「ごめんね」
「……うん、許さないって言いたい」
「うん」
「自分を大事にしてって、いい加減にしてって言いたい」
「うん。…ごめんね」
拗ねたような声。
少し間を置いて、かすれた声が続く。
「でも」
「生きて戻ってきてくれただけで、もう十分だよ」
抱きしめる力が、少しだけ緩んだ。
「……でも、次は一人で行かないで」
その声は、冗談でも軽口でもない。
ただの、まっすぐな願い。
「ちゃんと、呼んで」
「俺、どこにでも行くから」
静かに、でも確かに。
「……絶対だよ」
私は、彼の背中を軽く叩いた。
「……うん。呼ぶ」
その返事を聞いた瞬間、
テオの肩からふっと力が抜けた。
「……約束だからね」
顔を上げた彼は、泣き笑いのまま微笑む。
「おかえり、お嬢さま」