夜明けが世界を染めるころ
「お嬢様、クッキー持ってきたよ!
一緒に食べよー!」

テオの声に振り向く。

「げっ、レオもルイもいるじゃん」
あからさまに表情に出るテオ。

「あらー、失礼ね!」
すぐにルイが反応する。
「あ、テオちゃん。いいもの持ってるのねー。ちょうだーい!」

「え、あ、ちょっと!」

「お、俺にも!」
レオも手を伸ばし、遠慮なく受け取る。
「ん……うまい!」

「全く……」
テオは小さく呆れながらも、私の隣に腰を下ろした。

「ってか、セナ副団長、寝過ぎじゃない?」
ベッドを覗き込み、
「いつまで寝てるんだろう……」

そう言って、人差し指でセナの頬をぐりぐり押す。

「ちょっと、テオ!」

「そうだ」
急にひらめいたように言って、
「はい、お嬢さま。あーん!」

差し出されたクッキーを、あむっと口にする。

「美味しい……」

「ついてるよ。ほら」
テオがそっと近づき、クッキーのカスを優しく拭ってくれる。
「これ、俺が作ったんだ」

「え!? そうなの? すごい!」

「アリスが手伝ってくれた」

その名前に、思わず目を瞬かせる。
まさかのテオとアリスの組み合わせに、ふっと笑いがこぼれた。

――と、その時。

「失礼しまーす」
「しまーす」

ロベルトとアレンまで顔を出す。

「……いっぱいいますね」

「ほんとだな」

気づけば部屋はすっかり満員で、
眠るセナの周りだけが、やけに賑やかだった。
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