夜明けが世界を染めるころ
地下第二研究区画・避難通路。

担架と簡易照明に照らされ、被験者たちが列をなして進んでいた。

「ゆっくりでいいですよ!落ち着いていきましょう!」

アレンが声を張り上げる。

「呼吸が浅い人はこちらへ!」
ロベルトが守りながら誘導する。

そのとき――

「……ぁ……あ……」

列の後方。

1人の被験者が、突然立ち止まった。

胸元に埋め込まれた宝石が、
先ほど破壊したものとは違い――

深紅に濁っていた。

「……っ、待て!」

セナが叫ぶ。

だが遅かった。

宝石が脈打ち、被験者の身体がのけぞる。

「――グ、ァァァァッ!!」

皮膚の下を魔力が走り、
歪んだ魔法陣が床に展開する。

「暴走だ!」

アレンが剣を抜く。

「まだこんなのが残ってたのか……!」

被験者は理性を失い、
獣のような咆哮とともに魔力弾を放った。

「伏せろ!」

ロベルトが土壁を出す。

ゴンッ!!

衝撃が通路を揺らす。

「被害者たちを下げろ!」
セナが即座に判断した。

その瞬間――

「王国騎士団だ!」

通路奥から、整った足音。
青銀の鎧をまとった騎士たちが駆け込んでくる。

「オーウェン団長」

セナが口にする。

「セナ騎士 ご苦労様です。
避難誘導はこちらで引き継ぎます!」

「負傷者を優先!」

「後方確保!」

迷いのない動き。

訓練された王国正規騎士団だった。

「助かります!」

アレンが叫ぶ。

騎士たちが被験者たちを包み込むように守り、
一気に通路の外へ誘導していく。
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