夜明けが世界を染めるころ
ディランside
――ずっと、ティアナに会いたかった。
目を覚ますまで、ただ隣にいて。
眠る彼女の呼吸を確かめることしかできなかった。
彼女が目を覚ましたときは心底安心した。
堪えていたものが、ついに溢れ出たのだろう。
彼女は――
俺を頼ってくれた。
胸を貸すように抱き寄せると、
腕の中で、ティアナの肩が小さく震えているのが伝わってきた。
目を覚ましてからは、ガイルの後処理に追われた。
報告、裁定、後始末。
休む間もなく仕事を片付け続け、
眠る暇さえなかった。
それでも思っていた。
――すべて終わったら、彼女に会いたいと。
ようやく。
本当に、ようやく。
久しぶりに再会できたというのに。
「殿下」
その呼び方は、あまりにも他人行儀で。
……以前は、そんな距離じゃなかったはずだ。
挙げ句の果てに、婚約破棄を持ち出されるなんて。
正直、思わなかった。
まさか自分が、
ここまで嫌われていたとは。
少しは――
ほんの少しくらいは、
彼女の気持ちが俺に向いているのではないかと。
そんな期待を、どこかでしていた。
けれど。
ティアナの口からこぼれた、
「私、ディランのこと好きですよ」
その言葉に、胸が大きく跳ねた。
冗談なのか。
社交辞令なのか。
それとも、本心なのか。
真意を確かめたかった。
なのに――
オーウェンたちが現れ、
話はあっという間に流されてしまった。
そして今日。
ようやく、今度こそ話せると思ったのに。
俺は貴族たちに囲まれ、身動きが取れない。
視線の先では、
ティアナが楽しそうに踊っていた。
……笑っている。
俺の知らない表情で。
テオと。
レオと。
ルイと。
ユウリと。
それだけでも落ち着かないというのに――
「……セナ」
あいつが、あまりにも近い。
距離が。
視線が。
触れそうなほどの位置が。
胸の奥が、ひどくざわついた。
ただの騎士だ。
分かっているのに。
――なぜ、あんなにも自然に隣に立てる。
なぜ、俺より近い。
口元が、無意識に歪む。
気づけば、
感情とは裏腹に、完璧な笑みを貼りつけていた。
……ああ。
自分でも分かる。
今の俺の顔は、
きっと、とても穏やかで。
そして――
ひどく、怖い。
――ずっと、ティアナに会いたかった。
目を覚ますまで、ただ隣にいて。
眠る彼女の呼吸を確かめることしかできなかった。
彼女が目を覚ましたときは心底安心した。
堪えていたものが、ついに溢れ出たのだろう。
彼女は――
俺を頼ってくれた。
胸を貸すように抱き寄せると、
腕の中で、ティアナの肩が小さく震えているのが伝わってきた。
目を覚ましてからは、ガイルの後処理に追われた。
報告、裁定、後始末。
休む間もなく仕事を片付け続け、
眠る暇さえなかった。
それでも思っていた。
――すべて終わったら、彼女に会いたいと。
ようやく。
本当に、ようやく。
久しぶりに再会できたというのに。
「殿下」
その呼び方は、あまりにも他人行儀で。
……以前は、そんな距離じゃなかったはずだ。
挙げ句の果てに、婚約破棄を持ち出されるなんて。
正直、思わなかった。
まさか自分が、
ここまで嫌われていたとは。
少しは――
ほんの少しくらいは、
彼女の気持ちが俺に向いているのではないかと。
そんな期待を、どこかでしていた。
けれど。
ティアナの口からこぼれた、
「私、ディランのこと好きですよ」
その言葉に、胸が大きく跳ねた。
冗談なのか。
社交辞令なのか。
それとも、本心なのか。
真意を確かめたかった。
なのに――
オーウェンたちが現れ、
話はあっという間に流されてしまった。
そして今日。
ようやく、今度こそ話せると思ったのに。
俺は貴族たちに囲まれ、身動きが取れない。
視線の先では、
ティアナが楽しそうに踊っていた。
……笑っている。
俺の知らない表情で。
テオと。
レオと。
ルイと。
ユウリと。
それだけでも落ち着かないというのに――
「……セナ」
あいつが、あまりにも近い。
距離が。
視線が。
触れそうなほどの位置が。
胸の奥が、ひどくざわついた。
ただの騎士だ。
分かっているのに。
――なぜ、あんなにも自然に隣に立てる。
なぜ、俺より近い。
口元が、無意識に歪む。
気づけば、
感情とは裏腹に、完璧な笑みを貼りつけていた。
……ああ。
自分でも分かる。
今の俺の顔は、
きっと、とても穏やかで。
そして――
ひどく、怖い。