夜明けが世界を染めるころ
「ご忠告、どうもありがとうございます。それでは失礼」
その場を離れようとした瞬間、ぐっと腕を掴まれた。
「まだ話は終わっていませんよ。
あなたがどうしてもと言うのであれば、私が婚約者になってあげてもいいのですよ」
下品な笑い方。生理的に無理だ。
――というか、腕を掴むな。
本気ではっ倒すぞ。
(……もう放り投げてもいいかな)
そう思った、その時。
「あら、女性の口説き方がなってないわね」
「いだだだだっ!」
腕を掴んでいた力が、一気に抜けた。
そこに立っていたのは、
ミルクティー色の髪をオールバックにし、質の良いスーツに身を包んだ人物。
「ルイ!」
思わず声が出る。
「あんたみたいな男が、ティアナお嬢様に触れていいわけないでしょ。
さっさと失せな」
最後の一言は、低くドスの効いた声。
それに完全に怯えたカイロスが、腰を抜かしそうになりながら去っていった。
「なんなのよ! あの男は!
ティアナちゃんに触れるなんて、信じられないわ!」
「ありがとう、ルイ。助かったよ。
もう少しで床に叩き伏せるところだった」
「いいのよ! それはそれで興味あるけどね!」
「それより、ルイはどうしてここに?」
ブティック・グロウを経営しているルイが、こうしたパーティに顔を出すのは珍しい。
「私が作ったドレスを、主催者の方が気に入ってくれてね。
それで招待してくれたのよ」
今やブティック・グロウは大人気の店。
ルイも、すっかり売れっ子デザイナーだ。
「そうなんだ。ルイも忙しそうだね」
「忙しいわよ。ありがたいことにね」
そう言いながら、ルイは私のドレスに視線を落とした。
「……それにしても」
「?」
「今日のドレス、すごくいい選択してるじゃない」
「ほんと?」
「ええ。色もラインも完璧。
ちゃんと“見せ方”分かってきたわね」
素直に褒められると、少し照れる。
「アリスのおかげよ」
「でしょうね。あの子、腕いいもの」
そう言ってから、ルイはふっと表情を引き締めた。
「それよりも、エマのこと……本当にありがとう。
感謝してもしきれないわ」
そう言って、ルイは深く頭を下げた。
「気にしないで。無事でよかった、それだけよ」
「ティアナちゃんには、本当に頭が上がらないわ。
エマがあんなに悩んでいたなんて、全然気づかなかった」
ルイは唇を噛みしめ、悔しそうに視線を落とす。
「兄失格ね……」
その場を離れようとした瞬間、ぐっと腕を掴まれた。
「まだ話は終わっていませんよ。
あなたがどうしてもと言うのであれば、私が婚約者になってあげてもいいのですよ」
下品な笑い方。生理的に無理だ。
――というか、腕を掴むな。
本気ではっ倒すぞ。
(……もう放り投げてもいいかな)
そう思った、その時。
「あら、女性の口説き方がなってないわね」
「いだだだだっ!」
腕を掴んでいた力が、一気に抜けた。
そこに立っていたのは、
ミルクティー色の髪をオールバックにし、質の良いスーツに身を包んだ人物。
「ルイ!」
思わず声が出る。
「あんたみたいな男が、ティアナお嬢様に触れていいわけないでしょ。
さっさと失せな」
最後の一言は、低くドスの効いた声。
それに完全に怯えたカイロスが、腰を抜かしそうになりながら去っていった。
「なんなのよ! あの男は!
ティアナちゃんに触れるなんて、信じられないわ!」
「ありがとう、ルイ。助かったよ。
もう少しで床に叩き伏せるところだった」
「いいのよ! それはそれで興味あるけどね!」
「それより、ルイはどうしてここに?」
ブティック・グロウを経営しているルイが、こうしたパーティに顔を出すのは珍しい。
「私が作ったドレスを、主催者の方が気に入ってくれてね。
それで招待してくれたのよ」
今やブティック・グロウは大人気の店。
ルイも、すっかり売れっ子デザイナーだ。
「そうなんだ。ルイも忙しそうだね」
「忙しいわよ。ありがたいことにね」
そう言いながら、ルイは私のドレスに視線を落とした。
「……それにしても」
「?」
「今日のドレス、すごくいい選択してるじゃない」
「ほんと?」
「ええ。色もラインも完璧。
ちゃんと“見せ方”分かってきたわね」
素直に褒められると、少し照れる。
「アリスのおかげよ」
「でしょうね。あの子、腕いいもの」
そう言ってから、ルイはふっと表情を引き締めた。
「それよりも、エマのこと……本当にありがとう。
感謝してもしきれないわ」
そう言って、ルイは深く頭を下げた。
「気にしないで。無事でよかった、それだけよ」
「ティアナちゃんには、本当に頭が上がらないわ。
エマがあんなに悩んでいたなんて、全然気づかなかった」
ルイは唇を噛みしめ、悔しそうに視線を落とす。
「兄失格ね……」