夜明けが世界を染めるころ
玄関ホールへ向かう途中、廊下の真ん中を堂々と、いや大きい態度で歩く人物が目に入った。その横には、どこの令嬢かもわからないが、真っ赤なドレスに身を包んだ少女がぴったりと寄り添っている。
「うげっ……」
思わず漏れた声に、ユウリが小さくたしなめる。
「お嬢様、声に出さぬように」
どうやら目の前の人物を回避するのは難しそうだ。顔を取り繕い、平静を装う。
「おや、我が妹よ。どこに行くのかな」
母とそっくりな、意地悪げな笑み。
隣の令嬢はべっとりとマルクに擦り寄り、媚びるように笑っている。
「少々、用がありまして出てきます」
適当に返事を返し、早々にその場を切り上げようとする。
しかし、追い打ちをかけるように、
「父上の仕事ですか? そんなことしても何の得にもならぬというのに、」
隣の令嬢もわざとらしく笑う。
「まあ、大変ですわね」
はあ……全く。ツッコミどころが多すぎて、朝から頭が痛い。
目の前の人物は、マルク・ラピスラズリ。20歳。この家の長男で、いずれ家を継がねばならない男だ。それなのに、遊び惚けていて、大した教養も身につけていない。相手にするだけ無駄だと、心の中でため息をつく。
「うげっ……」
思わず漏れた声に、ユウリが小さくたしなめる。
「お嬢様、声に出さぬように」
どうやら目の前の人物を回避するのは難しそうだ。顔を取り繕い、平静を装う。
「おや、我が妹よ。どこに行くのかな」
母とそっくりな、意地悪げな笑み。
隣の令嬢はべっとりとマルクに擦り寄り、媚びるように笑っている。
「少々、用がありまして出てきます」
適当に返事を返し、早々にその場を切り上げようとする。
しかし、追い打ちをかけるように、
「父上の仕事ですか? そんなことしても何の得にもならぬというのに、」
隣の令嬢もわざとらしく笑う。
「まあ、大変ですわね」
はあ……全く。ツッコミどころが多すぎて、朝から頭が痛い。
目の前の人物は、マルク・ラピスラズリ。20歳。この家の長男で、いずれ家を継がねばならない男だ。それなのに、遊び惚けていて、大した教養も身につけていない。相手にするだけ無駄だと、心の中でため息をつく。