夜明けが世界を染めるころ

少し離れたところで第2騎士団と第3騎士団みんなで楽しそうに話している。

すると1人の第2騎士団員が近づいてきた。

「今回はご協力、本当にありがとうございました」

「いいのよ。マルクの無茶振りに付き合わされた被害者でしょ」

「いえ、実は私、ここの孤児院の出身でして、現在は男爵家の長男として引き取られています。
今回、ボランティアの話を聞いてとても嬉しかったのですが、マルク様の対応には少し不安があり、とても憂鬱でした。
しかし、ティアナお嬢様のご配慮で、たくさんの人が喜び、子どもたちにとっても貴重な経験となり、感謝の気持ちでいっぱいです」

「それは良かったです。私は大したことはしてないので。
レオやパン屋の旦那さん、第3騎士団のみんなにも伝えてあげて。きっと喜ぶと思うから」

ニコッと微笑むと、第2騎士団員は深くお辞儀をし、嬉しそうにその場を去った


はじめてこの孤児院の名前を耳にしたとき、なぜか直感が働いた。ここは双輝アレキサンドライト王国にもそう遠くはない場所にある。騎士団の中には孤児院出身者も少なくなく、後継のいない貴族が養子として迎え入れることもあるのだ。

調べてみると、その直感は間違っていなかった。蒼紋ラピスラズリ伯爵家 第1騎士団や双輝アレキサンドライト王国騎士団の中に、孤児院出身の者たちがいる。
そして何より驚いたのは、王国騎士団のオーウェン団長までもが、この孤児院で育ったということだった。

こうした事実を知ると、ボランティアの活動が雑になれば、単なる孤児院の問題では済まされず、蒼紋ラピスラズリ伯爵家の名誉や騎士団員の忠誠心にまで影響しかねない。しかし、現状はここまで順調に進んでおり、少なくとも及第点はといえるだろう。


少し疲れたな…
ここ数日はボランティアの準備で夜更けまで仕事していた。
夕暮れの空を見ながらほんの少し 今だけは穏やかな気持ちでいたい。

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