ベッドの隣は、昨日と違う人
37話 二次会のはじまり
中に入ると、受付周りはまだ準備の真っ最中だった。
テーブルを拭く音、グラスが重なる音、誰かが笑いながら指示を出す声。
美咲の同級生らしい女の子たちが忙しそうに動いていて、その中に見覚えのある顔があった。
「……あ、みいなちゃん?」
面識のあった、由奈だった。
可愛いワンピースだけれど、少しだけ疲れた顔。
「こんにちは、由奈ちゃん」
「久しぶり。ごめんね、まだバタバタしてて……」
「ううん。何か手伝おうか?」
一瞬だけ由奈は考えるように視線を泳がせて、すぐに首を振った。
「大丈夫、大丈夫。みんなもう揃ってるから。
……あ、彼氏さん?」
由奈の視線が大地に向く。
「今日は楽しんでいってくださいね」
「……はい」
みいなは少しだけ背筋を伸ばして答えた。
会費を支払い、簡単な説明を受ける。
「フリードリンク、ビュッフェ形式なので、好きなの取って、好きな席についてください」
「ありがとう。あとでまたね」
由奈に手を振って、会場の中へ進む。
思ったよりも人が多い。
ドレス姿の女の子、スーツの男性、あちこちで久しぶりの再会を喜ぶ声。
「わ……結構もう来てるね」
「だな」
ドリンクカウンターの前で立ち止まる。
「大地、なに飲む?」
「うーん……ウーロン茶かな」
「え、飲まないの?」
大地は一瞬だけ視線を逸らして、短く答えた。
「ああ。今日はな」
「そうなんだ」
みいなは少し考えてから、同じピッチャーに手を伸ばす。
「じゃあ……わたしもウーロン茶にしよっかな。昼、けっこう飲んだし」
グラスを手に取って、氷の音を聞きながら注ぐ。
冷たい水滴が指先についた。
「どこ座ろっか」
大地が会場を見渡す。
「あ、あそこ……端の方」
「いいな」
壁際の席に向かって歩き出す。
並んで歩く距離が、さっきより少しだけ近い。
椅子に腰を下ろすと、周りのざわめきが少し遠くなった。
ウーロン茶を一口飲んで、みいなは小さく息をつく。
「……なんか、結婚式の続きみたいだね」
「確かに」
大地はグラスを置いて、会場の中央を眺めた。
その横顔を、みいなは一瞬だけ盗み見る。
さっきカフェに入ってきたときと同じ、でも少しだけ緊張の抜けた表情。
(……ほんと、今日の大地、いつもと違う)
音楽が少し大きくなって、誰かの笑い声が弾んだ。
二次会が、ゆっくりと始まろうとしていた。
ビュッフェを取りに行こう、そんな話をしていたその時、大地のスマホが震えた。
「あ、悪い。仕事のメールだ」
画面を見ながら、少し眉を寄せる。
「すぐ返したいからさ。
みいな、美味しそうなの取ってきてくれる?」
「うん、まかせて」
みいなは立ち上がり、ビュッフェコーナーへ向かった。
中に入ると、受付周りはまだ準備の真っ最中だった。
テーブルを拭く音、グラスが重なる音、誰かが笑いながら指示を出す声。
美咲の同級生らしい女の子たちが忙しそうに動いていて、その中に見覚えのある顔があった。
「……あ、みいなちゃん?」
面識のあった、由奈だった。
可愛いワンピースだけれど、少しだけ疲れた顔。
「こんにちは、由奈ちゃん」
「久しぶり。ごめんね、まだバタバタしてて……」
「ううん。何か手伝おうか?」
一瞬だけ由奈は考えるように視線を泳がせて、すぐに首を振った。
「大丈夫、大丈夫。みんなもう揃ってるから。
……あ、彼氏さん?」
由奈の視線が大地に向く。
「今日は楽しんでいってくださいね」
「……はい」
みいなは少しだけ背筋を伸ばして答えた。
会費を支払い、簡単な説明を受ける。
「フリードリンク、ビュッフェ形式なので、好きなの取って、好きな席についてください」
「ありがとう。あとでまたね」
由奈に手を振って、会場の中へ進む。
思ったよりも人が多い。
ドレス姿の女の子、スーツの男性、あちこちで久しぶりの再会を喜ぶ声。
「わ……結構もう来てるね」
「だな」
ドリンクカウンターの前で立ち止まる。
「大地、なに飲む?」
「うーん……ウーロン茶かな」
「え、飲まないの?」
大地は一瞬だけ視線を逸らして、短く答えた。
「ああ。今日はな」
「そうなんだ」
みいなは少し考えてから、同じピッチャーに手を伸ばす。
「じゃあ……わたしもウーロン茶にしよっかな。昼、けっこう飲んだし」
グラスを手に取って、氷の音を聞きながら注ぐ。
冷たい水滴が指先についた。
「どこ座ろっか」
大地が会場を見渡す。
「あ、あそこ……端の方」
「いいな」
壁際の席に向かって歩き出す。
並んで歩く距離が、さっきより少しだけ近い。
椅子に腰を下ろすと、周りのざわめきが少し遠くなった。
ウーロン茶を一口飲んで、みいなは小さく息をつく。
「……なんか、結婚式の続きみたいだね」
「確かに」
大地はグラスを置いて、会場の中央を眺めた。
その横顔を、みいなは一瞬だけ盗み見る。
さっきカフェに入ってきたときと同じ、でも少しだけ緊張の抜けた表情。
(……ほんと、今日の大地、いつもと違う)
音楽が少し大きくなって、誰かの笑い声が弾んだ。
二次会が、ゆっくりと始まろうとしていた。
ビュッフェを取りに行こう、そんな話をしていたその時、大地のスマホが震えた。
「あ、悪い。仕事のメールだ」
画面を見ながら、少し眉を寄せる。
「すぐ返したいからさ。
みいな、美味しそうなの取ってきてくれる?」
「うん、まかせて」
みいなは立ち上がり、ビュッフェコーナーへ向かった。