片恋はおわらせるつもりだったのに、強引に囲い込まれて愛されています!?
 貴族の間で『嫁いでも実家に帰るか』は長年議論されていた。しかし、最近では姉の言う通り『それは古臭い考えだ』という主張が大きくなっている。年配の人たちはあまりいい顔をしていないけど、なにかしらの危害を加えることはない。あっても嫌味の一つや二つくらいだ。

「それに、やっぱりまだこっちのほうが落ち着くのよ」

 大きなため息をついた姉の言葉に驚いた。

 姉は私とは真逆で、人当たりがよくだれとでもうまく付き合える。嫁ぎ先でもうまくやっていると思っていたのに。

「表向きにはお家騒動は片付いたことになってても、裏ではいろいろと……ね」

 落ち込んだ声だった。……余計なことを思い出させてしまったかもしれない。

 胸の中で後悔が芽生え、渦巻く。フォローしたいけど、なんて言えばいいかが見当もつかない。

「夫は優しいし、使用人たちもとても良くしてくれるわ。でもね、親族がとても厄介なの」
「お家騒動の原因となった人は勘当されたって聞いたけど」
「原因の人がいなくなっても、同意していた人が全員いなくなるわけじゃないわ」

 首をゆるゆると横に振って、姉はティーカップを手に取る。

「イリュア、覚えておきなさい。結婚って、いくら相手がよくてもその周りの人たちが面倒な場合もあるのよ」

 実感のこもった声に、私はただひたすら首を縦に振ることしかできなかった。
< 11 / 20 >

この作品をシェア

pagetop