片恋はおわらせるつもりだったのに、強引に囲い込まれて愛されています!?
 メイドたちに庭園の片づけを頼んで、私は邸に戻った。

 どうやら姉はあいさつもなしに帰ったらしい。私が原因なので、私には責める権利がないのだけど。

「私はダメね」

 窓ガラスに映った私の顔は、相変わらずの無表情。

 貴族令嬢にとって、愛想は必須だ。なのに、私にはない。努力して身に着けようとしても、無駄だった。

(私がアルスさまのお隣に立つなんて、いい笑い者だわ)

 アルスさまは本当に人気の高い貴公子。対する私は、『鉄仮面令嬢』などと陰でささやかれている女。

 子供に聞いても、釣り合わないと答えるだろう。それくらい、私とアルスさまの立場は違う。

(想いを告げて拒絶されたくない。でも、このままでいいはずがない)

 お姉さまの言う通りだ。いい加減、アルスさまへの想いに決着をつけなくては。

 この気持ちが実っても、実らなくても。私は前に進まなくちゃならない。

 自分の頬を軽くたたいた。だけど、いつ伝えるのがいいのだろう。次、アルスさまがいらっしゃった際に伝えるのが無難だろうか。
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