片恋はおわらせるつもりだったのに、強引に囲い込まれて愛されています!?
 来客の知らせを受け、応接室に急ぐ。扉の前で立ち止まって、一度深呼吸。手を伸ばし、三回ノックした。

「イリュアです」

 心の動揺とは裏腹に、声は冷静そのものだった。

 私の声に反応して、内側から扉が開く。いつも通り我が家の執事が応対していたようで、彼は深々と礼をして、応接室を出ていった。

「いつも突然来ちゃってごめんね」
「いえ、お気になさらず」

 ゆっくり首を横に振ると、彼は目を細めて笑った。

 すっかり定位置となった場所に腰かけた彼は、私を手招く。

「本当はもう少し前に知らせたいんだけど……」
「大丈夫です。お気になさらず」

 冷たく聞こえる声に合わせ、そっけない言葉遣い。褒められたものではないとわかっている。しかし、この冷たく聞こえる声は、どれだけ丁寧に応対しても意味をなさない。むしろ、「気を遣っている」とか「怒りを押しとどめている」と勘違いされるのだ。

「イリュアがいつも俺を甘やかすから、このままだとダメになっちゃいそうだ」
「そんなことはございません」
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