片恋はおわらせるつもりだったのに、強引に囲い込まれて愛されています!?
 あれからたくさんの季節が過ぎて。私も社交界デビューを済ませ、十九歳となっていた。

 この年齢になっても、私の対人関係スキルはまったく上がっていない。相変わらず感情を表に出すのは苦手だし、人と話すときはつい身構えてしまう。けど、以前よりはずっとマシ。それもこれも、アルスさまのおかげだ。

 私とアルスさまの交流は今でも続いている。彼は五年前に騎士団に入り、以来寄宿舎で暮らしている。そのため、前より会う頻度は落ちたものの、手紙のやり取りは頻繁にしていた。

 それに、彼は実家に帰る際には私の元にも寄ってくれる。そして、ちょっとだけ話して寄宿舎に戻っていくのだ。

 雑談の時間は二時間ほどと決して長くはない。でも、彼と話す時間は私にとってはとても大切で。この時間を励みとして毎日頑張ることができていた。

 だから、私が彼に恋心を抱くのは当然の流れだった。

 気づいたら私はアルスさまに恋をしていた。好きで好きで仕方がなくて、たまらなかった。

 なのに、伝えることはできなかった。理由は簡単――『鉄仮面令嬢』と呼ばれ、遠巻きにされる私と、将来有望な騎士として女性人気の高いアルスさまが釣り合うわけがないからだ。
< 9 / 17 >

この作品をシェア

pagetop