君を酔わせるまで離さない〜ワンナイトのはずが絶倫すぎる俺様副社長に本気で囲われています〜
 東京にいる間は毎日と約束をしたわけではない。今日が最終日らしいので、急な接待などが入ったのかもしれないし、急用で京都に戻ったのかもしれない。
 そう思おうとしても、胸の奥に小さな空白が残る。足取りが自然と遅くなり、晴菜はスマホを取り出した。
 ディスプレイに視線を落とし、指が止まる。

 ――あ……

 通知欄にも、着信履歴にも。奏汰の名前は表示されていなかった。
『営業周りが終わったら連絡する』と、そう言っていた――はずなのに。

 ――期待するから苦しくなる。わかってるでしょ?

 康介のときだって、そうだった。『今度』という言葉に期待しては裏切られ、それの繰り返しだった。
 それを理解しているからこそ、連絡が来ない理由を、無理に探そうとはしなかった。
 ただ――胸の奥に沈んでいく鈍い重さだけが、否応なく存在を主張していた。
 靄つく思考を振り払うように頭を振った晴菜はバッグの持ち手を握り直し、マンションへ向かう道を歩き出した。人通りは減り、ネオンもまばらになる。足音だけが、一定のリズムで夜に響く。

 ――誇り……

 奏汰の言葉に救われたはずなのに、ひとたび一人になると、麗奈の冷酷な正論が呪文のように頭を支配する。
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