君を酔わせるまで離さない〜ワンナイトのはずが絶倫すぎる俺様副社長に本気で囲われています〜
 初めて抱かれた翌朝の、彼の寝顔を見た時からだっただろうか。お見合いの席で二人きりになった時だろうか。それとも、鮨屋に連れていってもらった時だっただろうか。

「……ごめん」

 積み重なった時間は、いつしか引き返せないほどの恋心に変わっていた。
 奏汰が好きだ。彼の手の熱さを知っている。くしゃりと笑う笑顔を知っている。
 意外なところで脆く、それでいて俺様で、意地悪で、なのに時折ひどく優しいことも、知っている。

「さよなら。……奏汰」

 だからこそ――今の晴菜にできることは、彼をこれ以上、泥沼に引きずり込まないことだけ。

「これで……いいの。これが……正解、なの」

 自分にそう言い聞かせながら、晴菜は震える指先で送信ボタンをタップした。その瞬間、シュポンという軽い音とともに、画面に吹き出しが表示された。
 すぐに既読がついたものの、五分待っても、返信も着信もなかった。

 ――終わった……んだ。

 晴菜はその場から、しばらく動けなかった。手の中に残ったスマホは、ひどく冷たく、重たかった。
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