君を酔わせるまで離さない〜ワンナイトのはずが絶倫すぎる俺様副社長に本気で囲われています〜
 低く抑えたつもりの声は、思いのほか鋭く、応接室に響いた。

『口出し、ではない。調整だ』
『調整ってレベルじゃなくなるっつってんだ』
『そこは上手く俺が立ち回る。なんとかする』
『だから俺に晴菜を諦めろって? あの女に傷つけられたまま放りだせと?』

 食ってかかる奏汰に対し、隆之は視線を逸らさなかった。感情の揺らぎを見せない隆之の瞳は、まるで静まり返った湖面のようで、何もかもが吸い込まれていくように思えた。

『……俺は……俺たちは、なによりも蔵を守らなくてはいけない。わかるだろう?』
『じゃあ俺は何だ、蔵を百年先まで残すための人柱か』

 鼻で笑う奏汰に対し、隆之は一瞬だけ眉を動かした。

『違う。お前は……俺の、大切な弟だ。次の時代を一緒に背負う相棒だ』

 隆之は、先ほどまでの感情を排した声音ではなく、兄としての声音で言葉を絞り出してくる。それがより一層、奏汰の怒りに火をつけた。

『だったら! だったら、……俺が守りてぇもんも守ってくれよ』
『……』

 コーヒーを淹れたマグカップから立ち上る湯気が、二人の間でゆっくりと揺れていた。

『あいつ、晴菜をただ酒を注ぐだけの女だと笑いやがった。そんな価値観の奴らと組んで、兄貴はまともな酒造りができると思ってんのか』
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