君を酔わせるまで離さない〜ワンナイトのはずが絶倫すぎる俺様副社長に本気で囲われています〜
『麗奈さんの気性は、ビジネスにおいては些末なことにすぎない。彼女の傲慢さを利用してでも、うちは生き残らねばならない』

 隆之は即座に切り返した。感情を挟まない、社長としての声音だった。
 奏汰としても、隆之の選択は会社を背負う者としての責任から来るものであることは痛いほど分かっている。けれど、蔵を守るということは、人も、やり方も、杜氏や蔵人たちの誇りも含めてのことだと、奏汰は考えていた。時東の調()()が入れば、彼らの職人としての誇りさえも、効率や利益という名の(ふるい)にかけられる。そんな未来が、奏汰には耐えがたかった。

『縁談も、曖昧な提携話も。副社長として、弟として、全部反対だ。必要なら、俺は副社長を降りる』
『……本気か』
『兄貴が言う調整が入れば、合理化の名のもとに杜氏たちのプライドが踏みにじられる可能性だってあんだぞ。それらがねぇって……絶対ねぇって、兄貴は言い切れるか?』
『……』
『俺は酒を守るために誰かを犠牲にする蔵には、未来はねぇと思ってる。それを否定するなら、俺は別の道を行く』

 隆之は眉間に皺を寄せ、長い沈黙のあと、奏汰を見据えて声を絞り出した。

『……しばらく、……考えさせてくれ』
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