君を酔わせるまで離さない〜ワンナイトのはずが絶倫すぎる俺様副社長に本気で囲われています〜
 結局、あの日から隆之との対話は平行線のままだ。返答を保留にされたまま、一週間が過ぎ――今朝。日程は調整中だが、高坂家との食事会が決まったことが秘書を通して伝えられた。

「……くそが」

 京都に戻ってからというもの、奏汰の生活は完全に仕事に侵食されている。日中は今シーズンの仕込みに関する調整、夜は高坂との限定酒についての打ち合わせと書類仕事。時計を見れば、常に次の予定までの残り時間が意識に浮かぶ。
 晴菜ともしっかり話をしたいのだが、分刻みのスケジュールに忙殺され就寝前にかろうじて短いメッセージを送ることしかできていない。

「は~~~……」

 肺がそのまま出ていきそうなくらいのため息をつき、奏汰は天井を仰ぐ。薄暗いリビングに、エアコンの低い稼働音だけが満ちている。

 ――分かってんだ。言い出したのは俺だってことも……

 一目惚れしたのも、強引に「一ヵ月限定の恋人」という枠に嵌め込んだのも。鎌倉での一夜を弱みのように握って、逃げられないように外濠を埋め、身体を刻み込み、執着という名の檻に閉じ込めているのも、自分の方だ。
 奏汰はソファの背もたれに身体を預け、熱を持った瞼を押さえた。

 ――晴菜は、……俺をどう思っている?
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