君を酔わせるまで離さない〜ワンナイトのはずが絶倫すぎる俺様副社長に本気で囲われています〜
「彼女、すごく綺麗で……凛としてた。自分の好きな人のために、親を敵に回してでも戦うって言ってた。穂乃果さん、すごかった。家と対立しても、それでも……この人と生きるって、迷いなく言い切ってた……私とは……全然、違う……」

 晴菜は顔を隠すように、奏汰の胸元に額を埋めた。視界が涙で歪む。喉の奥がヒリヒリと痛みを主張している。
 脳裏に焼き付いた穂乃果の、気高くも揺るぎない眼差し。それに比べて自分はどうだ。

「私は……麗奈さんに『器じゃない』って言われて、その通りだって揺れて、不安になっているだけ。あなたに守られてるだけ。あなたの隣には、……彼女みたいに強い女性がいなきゃいけないと思うの……」
「それであのラインか?」
「……」

 彼女のように強くなれそうな自分の姿は、どう考えても思い浮かばない。そんな自分の不甲斐なさが、何よりも嫌だった。
 晴菜を抱きしめる奏汰の腕にさらに力がこもる。

「あんなふざけた連絡一本で、終われると思うな」

 低く、地這うような声が耳朶を打った。震える声音には、晴菜を失うことへの剥き出しの恐怖と、怒りが綯い交ぜになっていた。

「俺なしで生きることは許さない。あんたがいなくなったら、俺はどうなると思ってる?」
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