君を酔わせるまで離さない〜ワンナイトのはずが絶倫すぎる俺様副社長に本気で囲われています〜
 潮の匂いで――ふっと、意識が浮上する。最初に晴菜の意識に入ってきたのは、全身を包み込む柔らかなシーツの肌触りだった。
 重い瞼をゆっくりと開ける。薄いカーテン越しに差し込む夜明け前の淡い光に、晴菜は数度瞬きをした。
 天井が高い。天蓋の影がゆるりと揺れて、どこか非現実的だった。頭がずきずきと疼き、喉が渇いている。
 アルコールの残る頭で、ここが自分の部屋ではないことを理解した。

 ――身体……さすがに、重い……。

 長い息を吐き出しながら晴菜は額に手を当てる。昨夜はあれから後背位で乱され、もう無理だと懇願しても何度となく頂点へ登らされた。酔った勢いのワンナイトにしては、あまりにも容赦がなかった。
 正直、気持ちよかった。腰が抜けるほど何度も攫われて、甘く溺れさせられて。あんなに抱かれたはずなのに、まだ渇いているみたいに疼く。逃げたいのに、溺れるみたいに引きずり戻される。
 けれど、同じくらいしんどかったのも事実で。最後のほうなんて、快感と疲労の境目が曖昧になっていて記憶がなく、いつ寝たのかもはっきり覚えていない。
 昨晩の記憶を辿っていると、静かな呼吸音がすぐ隣から聞こえてきていることに気がついた。晴菜はぼんやりと視線を動かし、隣に眠る男の横顔を見つめた。
 彼は――規則正しい寝息を立てていた。その顔は、昨夜の鋭い眼差しとはかけ離れた無防備で穏やかな表情をしていた。
 彼のまつげが微かに揺れた瞬間、何かが喉の奥で詰まった気がした。

 ――名前……
 
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