君を酔わせるまで離さない〜ワンナイトのはずが絶倫すぎる俺様副社長に本気で囲われています〜
けれど、彼は何も言わない。ただ、静かに晴菜の出方を窺っているようだった。
――このまま……なにも言わないで別れた方がいい。
互いに一晩だけの過ちとして、朝日と一緒に流してしまえばいい。
彼の『最後まで付き合う主義』とやらは『滅多に発動しない』と言っていた。その言葉の通りこれが彼の日常ではないなら、面倒なあれこれを避けるためにも、黙って立ち去る。それがこの一晩の『例外』に対する、晴菜の誠意だ。
心の痛みが、新しい傷で上書きされただけ。ただ――それだけの夜。
そう結論づけた晴菜は、音を立てないようにシーツを押さえてゆっくりと足を抜いた。床に触れた足先がひやりと冷たく、小さく息を落とした。
その瞬間、隣から男の寝息が一瞬だけ、不自然に途切れたような気がした。
「っ……」
振り返ってはだめだ。彼とは、一晩だけの関係なのだから。朝が来たら、別れの合図。
彼が黙っているのは、この一夜を特別な何かにしないためだろう。彼もまた、一晩の遊びとして、この関係を終わらせようとしているのだと察した。
晴菜は息を殺し、床に落ちた彼の服を避けながら、散らばった自分の下着を拾い集めた。指先がわずかに震えているのは、後悔のせいか、二日酔いのせいか、判断が付かなかった。
ベッドの中の彼は、変わらず穏やかな寝息を立てていた。
その呼吸が演技だとわかっていても――晴菜はもう、確かめなかった。
手早く下着とワンピースを身に着け、床に落ちていたカードキーを拾い上げる。晴菜はそのまま一瞥もせず静かに部屋のドアへと向かった。背後の沈黙が、やけに重く伸びていく。
――このまま……なにも言わないで別れた方がいい。
互いに一晩だけの過ちとして、朝日と一緒に流してしまえばいい。
彼の『最後まで付き合う主義』とやらは『滅多に発動しない』と言っていた。その言葉の通りこれが彼の日常ではないなら、面倒なあれこれを避けるためにも、黙って立ち去る。それがこの一晩の『例外』に対する、晴菜の誠意だ。
心の痛みが、新しい傷で上書きされただけ。ただ――それだけの夜。
そう結論づけた晴菜は、音を立てないようにシーツを押さえてゆっくりと足を抜いた。床に触れた足先がひやりと冷たく、小さく息を落とした。
その瞬間、隣から男の寝息が一瞬だけ、不自然に途切れたような気がした。
「っ……」
振り返ってはだめだ。彼とは、一晩だけの関係なのだから。朝が来たら、別れの合図。
彼が黙っているのは、この一夜を特別な何かにしないためだろう。彼もまた、一晩の遊びとして、この関係を終わらせようとしているのだと察した。
晴菜は息を殺し、床に落ちた彼の服を避けながら、散らばった自分の下着を拾い集めた。指先がわずかに震えているのは、後悔のせいか、二日酔いのせいか、判断が付かなかった。
ベッドの中の彼は、変わらず穏やかな寝息を立てていた。
その呼吸が演技だとわかっていても――晴菜はもう、確かめなかった。
手早く下着とワンピースを身に着け、床に落ちていたカードキーを拾い上げる。晴菜はそのまま一瞥もせず静かに部屋のドアへと向かった。背後の沈黙が、やけに重く伸びていく。