君を酔わせるまで離さない〜ワンナイトのはずが絶倫すぎる俺様副社長に本気で囲われています〜
見覚えしかない、精悍な顔。切れ長の目。仕立ての良いダークスーツ姿は、あの鎌倉のバーでの姿と寸分違わない。
晴菜の足は、完全に止まってしまった。地面に埋まってしまったかのように、どう頑張っても一歩も動けなかった。
――ありえない、なんで……
あの夜、偶然出会った名前も知らない男。
胸の奥がどんどん熱くなっていくというのに、なぜだか全身の血の気が引いていく感覚がした。視界の端が滲み、薄緑の振袖を着た自分が、まるで薄い膜の向こう側にいるような錯覚に陥る。
そんな晴菜の心の内を知らない華子は、軽く晴菜の背中を押してくる。
「さあ、晴菜ちゃん。お入り」
華子に背中を押された瞬間、晴菜は我に返り、どうにか一歩を踏み出すことができた。
「お待たせしてすみまへん、氷室社長」
華子は一歩部屋へ入ると、にこやかにテーブルの向こうに座る彼らに向かって頭を下げた。と同時に、二人がゆっくりと椅子から立ち上がる。
「いえ、こちらこそ。今日はお越しいただきありがとうございます」
華子の挨拶に、彼の隣の男性が応じた。落ち着き払った様子で、社長という肩書がすぐに腑に落ちる。
穏やかな目元に柔らかい物腰。その左手の薬指には銀の指輪が輝いていた。ということは、お見合い相手は彼――社長ではないらしい。
彼は穏やかな声で言葉を続けていく。
「初めまして、晴菜さん。氷室酒造の代表、氷室隆之です。彼は弟の奏汰。うちの副社長を任せています」
晴菜の足は、完全に止まってしまった。地面に埋まってしまったかのように、どう頑張っても一歩も動けなかった。
――ありえない、なんで……
あの夜、偶然出会った名前も知らない男。
胸の奥がどんどん熱くなっていくというのに、なぜだか全身の血の気が引いていく感覚がした。視界の端が滲み、薄緑の振袖を着た自分が、まるで薄い膜の向こう側にいるような錯覚に陥る。
そんな晴菜の心の内を知らない華子は、軽く晴菜の背中を押してくる。
「さあ、晴菜ちゃん。お入り」
華子に背中を押された瞬間、晴菜は我に返り、どうにか一歩を踏み出すことができた。
「お待たせしてすみまへん、氷室社長」
華子は一歩部屋へ入ると、にこやかにテーブルの向こうに座る彼らに向かって頭を下げた。と同時に、二人がゆっくりと椅子から立ち上がる。
「いえ、こちらこそ。今日はお越しいただきありがとうございます」
華子の挨拶に、彼の隣の男性が応じた。落ち着き払った様子で、社長という肩書がすぐに腑に落ちる。
穏やかな目元に柔らかい物腰。その左手の薬指には銀の指輪が輝いていた。ということは、お見合い相手は彼――社長ではないらしい。
彼は穏やかな声で言葉を続けていく。
「初めまして、晴菜さん。氷室酒造の代表、氷室隆之です。彼は弟の奏汰。うちの副社長を任せています」