君を酔わせるまで離さない〜ワンナイトのはずが絶倫すぎる俺様副社長に本気で囲われています〜
「あんたが俺の釣書を見ていないことくらい、あの日のあんたの態度でわかったさ。俺はあんたに会う前から、あんたに興味を持っていた。写真一枚で、妙に気になった。そして実際に話してみて確信した。――あんたがいい、ってな」

 奏汰は目を細め、まるで獲物を追い詰めた肉食動物のような、静かな満足を瞳に宿した。テーブルを挟んでいるにもかかわらず、その身をわずかに乗り出してくる。

「立ち仕事で体力も必要、夜遅くまで働く男社会の業界でバーメイドは少ないからな。だからあんたとの見合いを受けた。最初は単純な興味だった」
「……」
「その見合い相手が目の前にいる――だから俺はあの夜、『例外』にした。あんたがその相手だって気づいたときには、あんたを放すつもりがなくなってた」
「そ、んな……」
「あの時、あんたは言ったな。『全部から逃げてきた』って。だからあの日の俺は、ただの見知らぬ男でいることを選んだ」

 あの夜の記憶――熱を帯びた空気、息遣い、甘い声。
 過去の残像として封じ込めたはずのものが、鮮烈な色彩を取り戻して晴菜の脳裏に一気に蘇る。
 そんな晴菜の反応を、奏汰は抑えきれない獣めいた熱を瞳に滲ませながら見つめていた。

「でもあんたは次の朝に勝手に消えた。あれは計算外だったな」
「え……」
「割と腹立った。追って捕まえる、っつう楽しみは増えたけどな」

 自信に満ちた声音のくせに、どこか不満げな、そんな気配がかすかに滲んでいた。
 奏汰はふっと力を抜くように背もたれに体を預けた。晴菜は耐えきれず、唇を震わせる。

「つ……捕まえる、って」
< 42 / 128 >

この作品をシェア

pagetop