君を酔わせるまで離さない〜ワンナイトのはずが絶倫すぎる俺様副社長に本気で囲われています〜
「欲しいものに手を引く理由はない。だからすぐに俺は乗り気だって華子さんに返事したろう? あんたを抱く前に華子さんに連絡取ってたんだ」

 確かに――逃げるようにあの部屋を後にした直後、華子から相手が会いたいと言っている旨の連絡があった。それに、奏汰が宿泊する部屋へ行く直前、彼が誰かに連絡を取っていたような気がする。
 点が線になるように、あの日の出来事がひとつずつ繋がっていくたび、逃げ場が狭められていく。
 辻褄が合っていくほど、奏汰の熱だけが鮮明になっていくような気がして、息がうまく吸えなかった。

「じゃ……じゃぁ……あの朝、たぬき寝入りしてたのは……どうして……?」
 
 問い返す声は、情けないくらい弱い。けれど、聞かずにはいられなかった。
 晴菜がぽつりと落とした言葉に、奏汰はわずかに眉を動かした。

「気づいていたのか」
「……全部……わざとらしかったから」

 奏汰はゆるく笑って腕を組んだ。衣擦れの音が、やけに耳についた。

「最終的にあんたを捕まえりゃいいって思ってたからな。お見合いっつうこの場で正式に手を伸ばせる瞬間が来るまで遠慮してやったんだ、感謝しろよ?」

 温度の低い声なのに、言葉はあまりにも熱い。その熱に当てられて、胸の奥がぐっと詰まったような気がした。
 晴菜の胸の奥で、ようやく怒りが熱を伴って立ち上がった。
 知らないうちに追い詰められ、知らないうちに囲い込まれていた――その事実が、何よりも悔しい。
 
「あんたみたいな……ワンナイトで女を引っ掛ける男なんて――まっぴらごめんよ!」
 
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