君を酔わせるまで離さない〜ワンナイトのはずが絶倫すぎる俺様副社長に本気で囲われています〜
「氷室の酒が『静』なら、高坂の酒は『動』だ。この華やかさに、うちの蔵のきめ細やかな酸をぶつける。分家と本家、百年越しの雪解けの酒だ。ただの『企画モノ』で終わらせるつもりはねぇ。な、稔さん」
「あぁ、そうだな」
二人の会話はそこから、酵母の選定や吸水率の微細な調整等、門外漢の晴菜には呪文のように聞こえる専門用語の応酬へと変わっていった。
――すご、い。
老舗酒蔵という重圧、味の継承、そして新しいものを作り出す苦悩。ぶつかり合う言葉の端々から、伝統という重圧の中で二人はひたすらに泥臭く、本物を追い求めていることが伝わってくる。
――知らな……かった。
強引で不遜で、他人の都合なんて顧みない男だと思っていた。けれど目の前の酒と真剣に向き合う横顔は、驚くほど誠実で、不器用で、誇り高い。
その熱に触れてしまった心が、静かに、けれど確実に音を立てて傾いていく。
「そろそろ行くか。稔さん、サンプルは後で送ってくれ。こっちでも配合のシミュレーションを兄貴と始める」
「ああ、任せろ。いい酒にしよう」
二人の間で短い握手が交わされる。言葉は少ないが、互いの覚悟は十分すぎるほどに伝わってくる。
「……」
売るためでも、名を上げるためでもない。受け継いだものを背負い、次へ渡すため。言葉にはしない奏汰のその覚悟の重さが、晴菜の胸の奥に静かに沈んでいった。
「あぁ、そうだな」
二人の会話はそこから、酵母の選定や吸水率の微細な調整等、門外漢の晴菜には呪文のように聞こえる専門用語の応酬へと変わっていった。
――すご、い。
老舗酒蔵という重圧、味の継承、そして新しいものを作り出す苦悩。ぶつかり合う言葉の端々から、伝統という重圧の中で二人はひたすらに泥臭く、本物を追い求めていることが伝わってくる。
――知らな……かった。
強引で不遜で、他人の都合なんて顧みない男だと思っていた。けれど目の前の酒と真剣に向き合う横顔は、驚くほど誠実で、不器用で、誇り高い。
その熱に触れてしまった心が、静かに、けれど確実に音を立てて傾いていく。
「そろそろ行くか。稔さん、サンプルは後で送ってくれ。こっちでも配合のシミュレーションを兄貴と始める」
「ああ、任せろ。いい酒にしよう」
二人の間で短い握手が交わされる。言葉は少ないが、互いの覚悟は十分すぎるほどに伝わってくる。
「……」
売るためでも、名を上げるためでもない。受け継いだものを背負い、次へ渡すため。言葉にはしない奏汰のその覚悟の重さが、晴菜の胸の奥に静かに沈んでいった。