【完結&番外編追加中】三十路の社畜OLが出会った翌日に八才年下男子と結婚した件につきまして
すぐに勇凛くんから電話がかかってきた。

『七海さん大丈夫ですか!?』

勇凛くんの声──

昨日電話できなかったから一日ぶり。

涙が出た。

「勇凛くんごめんね……」

『え、なにがですか?とりあえず今すぐ行くんで待っててください!』


──しばらくすると勇凛くんが走ってきた。

純粋で真っ直ぐな勇凛くん。

眩しい。

「七海さん大丈夫ですか?あの人に何かされたんですか?」

「ううん。違うの。実は──」

私は勇凛くんに全部話した。



「……今から本社行きます」

勇凛くんが呟いた。

その表情は怒りに染まっている。

「待って。それだとあの人の思う壺だよ」

「こんなやり方はあまりにも酷すぎます。俺だけならまだしも……」

「お兄さんは私が邪魔なんだよ。だから私に仕掛けてきたんだよ」

「それが卑劣なんです」

勇凛くんの拳は爪が食い込むくらい強く握られている。

「勇凛くん。私、認めさせたいの。私自身の力で。弱音吐いちゃったけど、でもそれは諦めたくないからなの」

勇凛くんは困っている。

「じゃあ七海さんが耐えるだけなんですか……?」

胸が痛む。

夫婦で支え合おうって私も言ってるのに。

「……耐える。でも、無理そうだったらまた相談する。私はまだ頑張りたい」

勇凛くんは俯いた。

「何もできなくて不甲斐ないです……」

「そんなことないよ。私、今まで生きてきた中で、こんなに誰かのために頑張ろうって思えたのが初めてなんだ」

勇凛くんの手を握った。

「勇凛くんとずっと一緒にいたいから」

勇凛くんは手をゆっくり握り返してくれた。

穏やかな笑顔に少し戻った。

「家まで送ります」

勇凛くんは納得していないかもしれない。

でも私は自分ができることを精一杯やりたい。

そう思った。
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